ごろちん

神々のたそがれのごろちんのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
3.9
サン・ラーに招かれて辿り着いたのがこの惑星だったら確実に発狂しているな…。

中世風の世界から映し出されるのは、そこで生活を営む貧しい人々と、雪、泥、石、痰、唾、糞尿。SFでありながらも洗練さは皆無で、モノクロの映像から臭気が今にも漂って来そう。物語としては、神として崇められる地球人が政治に介入出来ないことへの苛立ちや苦悩が描かれていて、これがロシアの政治体制の暗喩であることは何となく察しがつく。

それにしても『フルスタリョフ、車を!』と同様に映像から放たれる熱量にはただただ圧倒されっぱなし。フレームに入り込む人たちがその時々の主役かのように振る舞い、尚且つ物語に連続性を感じないから「いったい何を見せられているんだろう…」という気持ちに。これが延々と続くもんだから「神様はつらい」と独り言つ神に「観てるこっちもつらいけどなッ」と突っ込みを入れたくなる。

とはいえ、否が応でも記憶に残る映画なのは間違いないので、色んな耐性がある方にとっては一見の価値ありです。
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