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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのsmithmouseのレビュー・感想・評価

4.0
人間界のチートキャラ、神様&超人はラグナロクでお休み。
それ以外のメンツで決めよう。
独立不羈の狼達と安寧秩序の番犬達とが繰り広げる最強合戦‼︎

原作シビルウォーは作品内の”超人登録法”と現実社会の”愛国者法”を対比させた風刺として見られている面がある。
2つの法の共通点は非常時に政府が一部とはいえ個人の権利に制限を科す力を持つ事が出来るという点。
原作中ではその正当性を巡りマーベルユニバースは真っ二つに分裂する。
映画内では別の仕組みに置き換えられているもののやはりキャップとアイアンマンの対立からは正義とその執行者と言う現実社会にも通底するポリティカルな面を感じた。

「妥協と安全保障を世界は求めている」

アベンジャーズ2・5であり、新スパイダーマン、ブラックパンサーのお披露目の意義もあるのか「キャプテンアメリカ3」にしてはかなり豪華な顔触れ。
各ヒーローヒロインがそれぞれの魅力を発揮するバトルシーンが圧巻!
全く違和感なく共通の作品世界で繋がったそれぞれの勝負の駆け引きは両陣営の戦力のバランスも良く完成度はメチャクチャ高い。

しかし、お祭騒ぎもそこそこにキャップとウイソルの映画らしく体制とそれに追われるヒーローというソリッドかつサスペンスっぽい構図は相変わらず。
オーソドックスなフォントだがデカデカと出てくる地名の字幕とそれに続くヒーロー、ヴィランとも悪目立しない姿が、それらが等身大の現実に落とし込まれたリアルさを感じさせる。

ムジョルニアを動かした高潔さを持ち正義の無謬を信じるキャップとリアリストで皮肉屋のトニーの対立は思った以上に深刻だった。お互い認め合い、手の内を知り合う仲にも関わらずやむなく迎えた対立は悲しくもワクワクする。
立場以外にも後に明かされる決して埋められないアベンジャーズに内在していた亀裂はこれからの同シリーズにどんな影を落とすのかが気になって仕方が無い。

これは自分にはヒーロー映画の究極と言える作品だった。
これまでこのジャンルの映画が持ち合わせなかった様な危ういバランスと緊迫感とスリルを孕んだシナリオ、相容れ無いヒーロー同士の互いに容赦無く満身創痍になりながらもスピードと迫力に満ちたシーンの数々。
このブレンドは冷んやりと心に押し寄せると共にマーベル及びシネティックユニバースの世界に否が応でも引きずり込んでくる。

葬儀シーンでのシャロンの台詞や「ヴィジョンが泣いている」という台詞にはニヤリとさせられた( ´ ▽ ` )。

ディスアセンブルな映画。
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