はい、ぼくの今年の邦画ナンバーワン決定……じゃないかな。ざっくり言い表せば、これは日本版『インサイド・ヘッド』ですよ！ 今年すごいなぁ……当たり年だな。ミュージカル・アニメーションと聞いてとてもとても楽しみにしていたのですが、これはどちらかというと『ミュージカル映画』ではなくて、『ミュージカルをモチーフにした青春映画』だったかな。それにしても次から次へとめくるめくスタンダード・ナンバーを贅沢に引用して、継ぎはぎにして、これで悪いものになるはずがない。この映画のどこで泣いたって、あの曲とあの曲がぴったりと重なってゆくところ……。ヨロコビとカナシミが互いに寄り添って、みんなの歌声は秩父の冬空へと上ってゆく。ツカミの素晴らしさについても当然語らなければいけませんが、そこから後半へと繋げるために、前半やや「？」な話の進め方になっていたのは、ちょっと気になりました……が。いー所もある分、荒っぽく進めざるを得ない場所とのギャップも見え隠れはしていたかな。しかし、やっぱり『とらドラ！』のチームですね、女の子の意地の悪さがすっごく、素敵。最後の落ち着け所も、どっちかというと女性的ですよね（かっこいいぜ）。『あの花』よりもずっとよく出来ているので、あちらが好きじゃない方でもぜひどうぞ。音楽や録音が素晴らしいので、コトリンゴの美声を堪能する為にも、ぜひ映画館で。……ぶち壊しとまではいかないにしても、かなりＡＫＢだった主題歌は、ちょっとあれだったけど、ネ。このクオリティの映画を年一ペースで送り出しましょうよ、日本国。がんばるわ僕。いい時代に生まれてよかった。僕はこの人々の一団の後ろを歩くことにするわ、ほんとうに……。内山昂輝のざらっとした歌声が耳から離れない、かなり傑作な、佳作。
劇場（2015.09）／レンタル（2016.04）
