たけうつ

エル・トポのたけうつのレビュー・感想・評価

エル・トポ(1970年製作の映画)
3.8
みたことのないものを見せてくれるカルト映画の金字塔。
フロイト的な無意識を絵にしたような世界が描かれている。
エンターテイメントを排したアーティスティックかつカルトチックな内容で、嫌いな人は嫌いだろう。
というより、怖いもの見たさに変なものが見たい、という人以外は見ない方がいいだろう。


映像: 5.0
未知を撮る気概を感じる。
ガンマンの蜂蜜まみれの遺体、うさぎの群れ、迫害される町。
一世紀前ならともかく現代では想像もできず、異星の出来事かのよう。
カット割や構成に目は惹かれないが、タブーとされるものに大体手を出している。

音響: 3.2
音響に力を入れた映画ではないが、笛の調べなどが繰り返しかつ印象的な使いかたをしている。

物語: 4.1
ストーリーそのものに意味はほとんどない。
エル・トポが洞窟を出て街へ下るシーンはツァラトゥストラを彷彿とさせたり、街でのパントマイムがチャップリンを連想させたり、親子の復讐の関係がオイディプスを連想させ、脚本に重厚さが感じられた。

演技: 2.8
あまりに現実離れした映像のため、役者の心理状態を読み取れないし、
それを評価もできない。どの演技が正解かも判断できない。
戸惑いつつも役割を演じる役者の努力と苦心が伺われた。

構成: 3.9
本作をカルト映画の金字塔たらしめている異世界感はほとんどが映像の働きだろうから、映像を高く評価し、現代社会の慣行とは異なった世界観の描写は脚本によるものなので物語の評価としている。この2つを主軸として、忘れようにも忘れられないカルトの金字塔「エル・トポ」が構成されている。
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