NORA

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望のNORAのレビュー・感想・評価

2.7
相対的に『2』『3』よりもかなりマシな出来。良い点、悪い点がはっきりしている映画。
良い点は、とっ散らかっていた前作・前前作とは対照的に、ストーリーを一本道にしたこと。シンプルにまとめたおかげで物語に集中できるし、各キャラクターの配置も引き締まって見える。また、警察内部の人間、しかも青島や室井と同じく上層部の腐敗を憎む者たちを今回の敵に据えたのはシリーズのまとめとして大いにアリである。ラスト近くの青島の演説なんか、(不覚にも)ちょっとグッとくるのである。
が、そういった長所を完全に相殺するレベルで、やはり脚本が壊滅的と言わざるを得ない。特にバナナのくだりは本当にひどい(あれで「そうか、バナナか」と納得した観客はいるのか?)。『2』以降、伏線や整合性、リアリティを完全に無視した君塚良一脚本の暴走は、結局最後まで収まることはなかった。せっかくのシリーズの大団円、もっとマシな筋はいくらでも書けたはずである。もっとも、本シリーズのなんともパッとしない完結、及び回を重ねるごとの興行収入の減収は、まさしく邦画における『踊る』なるもの=テレビドラマ的ノリの終焉を意味する。時代に生き、時代とともに去って行ったシリーズとして、『踊る』は長らく記憶され続けるだろう。何はともあれ、お疲れ様でした。
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