Ryoko

日本のいちばん長い日のRyokoのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
4.3
戦後70年の節目にこの映画がリメイクされたことはとても意味があると思います。
見終わったあと、小説を買いに走りました。日本がどうやって戦争を終わらせたのか、どうして私たちが戦争のない社会を享受できているのか、その原点をもっと深く知りたいと思いました。
戦争を扱った邦画というと、兵士や原爆など悲劇を描いたものは幾つか見てきたけれど、この映画のように政治的なやりとりを描いたものは初めて見た。
戦争が悲劇であることは疑いのないことだけれど、悲惨さ以外の側面から戦争を描く邦画ってもっとあっても良いのではないかなと思う。この映画では、戦争を終わらせた当事者たちの思いを知ることができます。
正直、わたしも鈴木貫太郎や阿南惟幾のこともほとんど知らなかった。「戦争に関わった政治家=悪い政治家」として一括りにしてしまうような無知ゆえの思い込みもあった気がする。命をかけて戦争を集結させた日本人がいたことをもっと多くの人にも知ってもらいたいと感じた。

キャスティングも本当に秀逸です。役所広司、山崎努、みんなみんな素晴らしかったけれど、とくに昭和天皇を演じた本木雅弘がよかったな。言葉ひとつひとつが気品があり、重みがあった。国民の生命を憂う陛下の気持ちがとても伝わってくる演技で、涙が出た。

それから、メイン以外のキャストのほとんどが舞台出身の役者ばかりというのがとても好感が持てます。下手に人気者とかアイドルとか使っていなくていいです。いい意味で「色」がついていない役者さんばかりなので先入観なく映画に集中できました。しかもみんな上手い。
キャストは監督が選び、青年将校役の役者にはみんな軍事訓練をやらせたそうで、監督の並々ならぬこだわりを感じます。
原田監督は黒澤明を師と仰いでいるとのこと。この映画もちょっと黒澤映画の色を感じます!
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