まっどまっくすこーじ

バケモノの子のまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
4.3
監督・脚本・原作 : 細田守。
のっけから過去作とは撮り方(描き方)が違うことに細田監督の意気込みを感じました。

独りで生きていくと決めた故に孤独な蓮。
独りで強くなってしまった故に孤独な熊徹。

二人の奇妙な関係がやがて親子のような絆になっていくのはベタだけど、その描き方が秀逸。

九太(蓮の渋天街での名)のキャラはとても好きです。 こんな息子が欲しいと思ってしまいました。
そりゃ素直な子供のほうが良いかも知れないですけれど、ああやって言い合える関係が私としては羨ましい。

レビューを書いていたら、NHKのプロフェッショナルで細田監督の取材をやっていて、やっぱりこの人凄いなぁ…と改めて思い、細田監督をただ誉めるだけの私のレビューなんぞ何の意味もないと思ったので、ただ感じたことだけ書くことにします。

声優陣はとても良かった。
まず、熊徹の役所広司はピッタリ。
九太のちっちゃい頃は宮崎あおい。
青年になってからは染谷将太。
二人とも上手いなぁ。宮崎あおいはおおかみこどもの雨と雪でも主役の花を演じていたので、細田作品とマッチしているのだと思う。
個人的には染谷将太が素晴らしかった。
声優に関して何も予備知識なしで観たのだが、鑑賞中に青年期の九太の声は誰だか全然判らず、コイツ上手いけど誰だ?とずっと思っていた。
あとは、リリー・フランキーとか大泉洋がキャラとマッチしていて良かったと思う。
ヒロインの楓役も全然判らなかったけど、広瀬すずちゃんだったのね!!

さて、もう細田監督の凄さは充分解ったので、次作からはもっと自分の世界観を遠慮せずに出して欲しい。
というのも、今作は本当に売れると思うのですよ。その代わりになんか以前の突き抜け感のようなものが減ってしまっている気がするのです。
なんかジブリに似てきたような…まぁ私の錯覚でしょうね。
でも本当に次作は、細田監督は宮崎駿を超えられるのか、ということを私のみならず問われてしまうと思いますから、高くなったハードルに負けずに頑張って欲しいと願うのみです。
もちろん、なにかを競ってる訳ではないので、宮崎駿は宮崎駿、細田守は細田守、で良いのですけどね。

少し消化不足に感じる部分もあり、今回は満点はつけませんでした。
細田監督作品が好きな方でも、好みがみなさん違うと思いますが、私的には今のところベストはサマーウォーズですね。
でも今作も名作でしょう。
スクリーンで観た価値は充分ありました。
(と書いておりますが実は109シネマズポイントカードのポイントが貯まっていたのでタダで観てしまいました…(笑))

「心に剣を持て」という熊徹の唯一(?)のまともな教えが、なんかいろんな意味を含んでいるようで、私の中に残っています。