もけ

陽だまりハウスでマラソンをのもけのレビュー・感想・評価

3.2
邦題とジャケットデザインでコメディを想像したら、けっこうリアルな高齢者福祉問題的な内容だった。
独身の娘に、面倒見切れないから早く施設に入ってちょうだいと言われて入所する主人公夫婦。ちょっとカルチャーショック。
施設に入居したら毎日歌を歌って、栗の実で工作するなんて耐えられないと反発する主人公を、トラブルメーカー扱いする作業療法士と優等生入居者。
「学校」みたいな構図におどろく。
施設の管理上の問題、人手不足、パターナリスティックな診断行為…。
日本の外でも高齢者の問題は難しいのだと思った。
オリンピックの金メダリストでその時代の英雄だったという主人公の歴史が、他の入居者の歴史とリンクして活気立たせるシーンはなんかよかった。
今を肯定するには、自分の生い立ち的な部分を振り返るのも大切なのかもしれない。
原題 Sein Letztes Rennenは「ラストスパート」的な意味だろうか。
何をするにも遅すぎるということはないというのを真に受けたい映画。
もけ

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