韓国製のサイコ・サスペンス。現代の大型集合住宅に潜んでいる不安をうまく描いている。
古びた集合住宅の、空き室となった廃墟に変質者が隠れ住んでいるらしい、というウワサが流れはじめる。「いつからか、この町には変なウワサが流れ初めた。人の家にこっそり入り込み、身を隠して暮らす人たちの話だった。まるでフクロウのように」
主人公はカフェを経営する裕福な中年男性で、家族とともに何不自由ない生活を送っているのだが、じつは幼少期にあるトラウマを抱え、神経症的な一面もある。
彼はふとしたことから、ウワサとなっている変質者は、失踪した腹違いの兄なのではないかと疑いはじめる。やがてその変質者は主人公の家族にまで手を伸ばすようになるのだが...。
なにげない日常の描写を重ねるなかで、ジワジワとサスペンスを盛り上げていく手法はなかなか見ごたえがある。