カッチェ

ラビリンス/魔王の迷宮のカッチェのレビュー・感想・評価

ラビリンス/魔王の迷宮(1986年製作の映画)
3.9
感想①「CG満載の作品ではなく特撮ファンタジー」
1986年製作ということもあり、主人公サラと弟のトビー、魔王ジャレス以外はほぼマペット(操り人形や指人形)で演じられている特撮ファンタジー映画です。監督はマペット界の最も重要な一人で、セサミストリートのキャラクターの生みの親でもあるジム・ヘンソン。そして製作総指揮は、SF・ファンタジー・アドベンチャー映画には欠かせない監督の一人であるジョージ・ルーカス。
この映画、子供の時に観ていたなら大人になってから観ても同じように楽しめ、夢の中の絵本のような世界観に何度も酔いしれることが出来るでしょう。ただ大人になってから初めて観る場合は、CG慣れしてることもありマペット演出が子供向けすぎて期待外れかもしれません。

感想②「小さい頃に観ると、ちょっと怖く感じる映画」
空想好きの少女サラは、元女優だった母に憧れており、義母とは仲が良くない。ある日、義理の弟(赤ちゃん)のトビーの子守を押し付けられるが、ぐずって泣き止まないトビーにうんざり。困ったサラは愛読書である「ザ・ラビリンス(迷宮)」を読んで聞かせ、コブリンの王に「この子をどこかへ連れ去って」というおまじないを唱えてしまう。コブリン界を支配する魔王・ジャレスはその言葉を真に受けトビーを連れ去り、弟を返してほしければ13時間以内に迷宮を抜け城まで到着来いと試練を与える。サラは弟を救う為、不思議な迷宮の世界ラビリンスへと向かう。

出てくるコブリンがまず可愛くない(笑)城の中で大量のゴブリンに囲まれて号泣しているトビーを観て、そりゃ演技じゃなくて本気で泣くだろっと思いました(笑)でもお馬鹿なゴブリンが多いので、頭を抱える魔王ジャレスが面白い。今観ると全然怖くないが、小さい頃観ると怖く思えるフォルムの登場人物が多いのも、この映画の好きな理由の一つ。城までの迷路も巨大で、左右だけじゃなく落とし穴に落ちて下にも上にも行かなきゃいけないのも面白い。途中から、サラが魔王ジャレスによって大切な物の記憶を無くしてしまうところも子供心に怖った覚えがあります。

感想③「登場人物の設定が面白い」
サラが一番最初に出会うゴブリンのホグルは迷宮の案内人で、とにかく頑固でキラキラした光物を集めるのが趣味。見た目だけは可愛らしい小さな妖精を害虫として殺虫剤で倒すのがホグルの日課。
迷路に入ったのはいいが、いつまで経っても真っすぐで曲がり角がないことに焦るサラに、助言をして抜け道を示してくれるのが芋虫。親切かと思いきや、実はサラを足止めしたくてやたらとお茶に誘ったり迷う方の道を案内したり悪い芋虫。
迷路があまりにも巨大な為、サラは迷わないように自分の口紅で石畳に矢印を書いていたのに、それを即ひっくり返してあべこべにする小人。
迷路の道順が自動で変化していると忠告してくるのが、迷路のゲートキーパーである双子の怪人ラルフ&ロルフ。トランプの絵柄のような見た目で、双子それぞれ上と下に2つずつ顔がある。片方は常に真実を言い、片方が常に嘘を言う。
映画が始まって20分程度で、これだけの登場人物が登場。もちろんこの後も、たくさんキャラは出てくる。罠や仕掛けも夢があって面白くて、世界観がとにかく素晴らしい。

感想④「美少女ジャニファー・コネリー」
ホラー映画「フェノミナ」で子役ながら体当たりの演技をし、ポスト"ブルック・シールズ"として注目され、知りませんでしたが日本ではアイドル的な人気を得ていた彼女。その後は「レクイエム・フォー・ドリーム」での演技が称賛され、「ビューティフル・マインド」でアカデミー助演女優賞をはじめたくさんの賞を獲得し、演技派女優として見事へ成長しました。
彼女が「ラビリンス」に出演したのは14歳の時。黒に近い濃い茶髪でエメラルドグリーンの瞳、そして特徴的な太い眉。純白のドレスを着た舞踏会シーンの彼女は、リアルお姫様。14歳なんだけど、とても大人びています。

感想⑤「こんな姿はデヴィッド・ボウイしか無理」
俳優としても長いキャリアを持つミュージシャン、デヴィッド・ボウイ。魔王ジャレスは彼しか演じられない。髪型は金髪のウルフカットで、眉は吊り上げ気味、アイシャドーとアイラインはとにかく濃い。ミュージカルシーンでは大量のゴブリンに囲まれていても、美声と圧倒的な存在感でデヴィッド・ボウイのPVの世界に早変わり。ジャレスが得意なクリスタルボールを使ったコンタクトジャグリングは、小さい頃観た時に憧れました。ちなみにプロのジャグラーの方が代わりにやってます。

デヴィッド・ボウイが69歳という若さでこの世を去ってしまったことが、本当に残念であり悲しいです。しかし最後の最後まで、ずっと素敵で格好良かった彼はまさに永遠の世界のスターだと思います。
カッチェ

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