カッチェ

シュリのカッチェのレビュー・感想・評価

シュリ(1999年製作の映画)
3.8
感想①「日本で初めての大きく取り上げられた韓国エンタメ」
冬ソナのヨン様でもなく、K-POPのBoAでもなく、日本で初めて注目された韓国エンタメが映画「シュリ」だと思います。当時の韓国映画史上最高額の製作費をかけて作られた超大作で、韓国では「タイタニック」が持っていた歴代最高興行記録を更新。また、韓国映画に馴染みのなかった日本でも小規模公開ながら口コミで評判が広がり、興行収入18億円、観客動員数は130万人以上を記録しました。

感想②「シュリ」
映画のタイトルとなっている「シュリ」は朝鮮半島にだけ棲息する淡水魚の名前です。淡水と海水を自由に泳げるシュリのように、北朝鮮と韓国も自由に行き来できるようになれば良いという朝鮮南北問題の象徴です。ちなみに、映画の中で登場する重要な魚は熱帯魚のキッシンググラミー。口と口をくっつける行動をし、まるでキスしているかのように見えることからキッシングの名前がついたそうです。
つがいの一方が死ぬともう一方も生きていけないと映画の中では説明され、なんともロマンチックな魚。しかし、実はこれ間違った解釈。口と口をくっつける行動は喧嘩らしく、つがいという認識も薄いため片方が死んでも何も問題ないらしいです。でもそんな事実は無かったことにして、映画の設定で観た方が幸せ(笑)

感想③「冒頭シーンからバイオレンス」
まぁ、韓国映画を観たことがある方なら分かると思いますが、バイオレンスシーンが生々しすぎるんですよね。日本の映画と血のりの種類が違うのか?と思ってしまうくらい、リアル。なので、韓国映画が苦手という方も多いでしょう。「シュリ」は最近の韓国アクション映画よりも生々しいシーンが多い気がします。冒頭シーンはいきなり北朝鮮のエグイシーンなので、もし苦手な方は5分くらい飛ばして下さい。この映画はアクションやドラマの部分もありながら、恋愛映画としても切なく泣ける作品なので、韓国バイオレンスが苦手な方でも挑戦してほしいなっと個人的には思います。

感想④「アジアでもこの迫力が出せる」
アジアでもハリウッドに負けない迫力あるアクション映画はたくさんありますよね。でも大体が物語の舞台が現代ではなく時代劇だったり、己の肉体を使い武術などで格闘する映画だったりします。もちろん、私はそういう映画も大好きです。
この「シュリ」は現代を舞台としながら、南北問題という韓国でしか表現できない緊迫感溢れる題材を使い、工作員やテロ、迫力ある銃撃戦、公共の場所を通行止めにして撮影された大規模なアクションシーンなど、まさにハリウッドクラス。
話のスケールが大きいので粗があったり、初めて観られる方は1999年作品ということもあり迫力に物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、当時は文句なしの超大作だったと思います。

感想⑤「キャストの重厚感」
ハン・ソッキュ、キム・ユンジン、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ。もうこのキャスト観ただけで息苦しい(笑)演技のぶつかり合いが約束されたキャスト。ちなみに、私は「JSA」のキャストでもこの息苦しさを感じます(笑)

感想⑥「キャロル・キッドのWhen I Dream」
アクション満載の「シュリ」ですが、私にとっては恋愛映画。熱帯魚の前で愛を語るシーンは胸がキュンとするし、傘も差さず雨の中手を繋いで走るシーンはちょっと古くさい演出でも素敵だなっと思いました。レオナルド・ディカプリオとクレア・デインズの「ロミオ&ジュリエット」の水槽シーンを思い出す。そしてエンドロールで流れるキャロル・キッドの「When I Dream」が胸にしみます。優しい歌声。エンドロールで、映画の余韻に浸れるって素敵ですよね。
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