keitty

ビューティー・インサイドのkeittyのネタバレレビュー・内容・結末

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

美しい映画だった。
優しく静かに流れる音楽も心地よかった。
123人で1人の役を演じる設定も面白かったし、ちゃんとストーリーとして成り立っていて凄かった。

毎朝違う姿になる自分を受け入れながら生きているジフンがかっこいいし、そんなジフンを受け止めようとするイスが素敵だった。一方で、自分で自分を変えれる部分と変われない部分に対する葛藤や、受け止め続ける側の苦しさも見えてきて、ファンタジー要素の中にも人間味が出ていた。

上野樹里さんが演じるジフンが素敵だった。女性の姿だけど、イスをまっすぐに見つめる目や一つ一つの言葉を慎重に選びながら想いを伝える口調から、中身はジフンなんだと男性的な優しさを感じさせられた。

姿が変わる彼に対して変わってたのは自分の方だったとイスが言っていたけど、確かにイケメンの時は明らかに女の顔してた...とか、パーティーのシーンでおばあちゃん来たらどうしよう...ってヒヤヒヤしてたらセーフ!とか、頑張って寝ないようにしてたのにバスの中でめっちゃおっちゃんなおっちゃんになってしまった...とか一縷のコメディ要素があったことで「次どんな姿になるんだろう」と期待も込めながら見れた。

リスペリドンのオーバードーズでイスが搬送されて、ジフンが何の薬か答えられなかったシーンが切なかった。
ずっとそばにいる相手のことを知っているつもりでも全然知らなくて、自分が知っている相手は表面上、もしくは相手が不安を隠して振る舞ってくれている姿だということに気づいて、それに気づけなかった自分を悔いたジフンがイスの元を去ってしまう。イスはイスでジフンの顔を覚えていないことに不安を感じてしまう。
お互いを愛する故にすれ違っていく描写がつらいけど、「見えなくても感じている」という表現がぴったりなハッピーエンド展開がよかった。

「見えてる部分が一番相手に影響を与える」「見えてこない部分は伝わりにくい」という教訓にもなった。

木材・糸といった素材が登場するシーンでは、「一つのものが形や大きさを替えて様々なものに変化するけど本質は同じ」という点がまさにジフンで、その比喩表現(と私は捉えた)演出にも感動した。

映画のお供にチーズタッカルビを食べたけど、2回目観る時はお寿司食べながら観たい。
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