ピッツア橋本

はじまりへの旅のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.3
これぞ正真正銘のGET WILD and TOUGHを追い求めた家族たちを描いた異色のアメリカンホーム映画。

父は6人の子供たちを普通の学校に入れず、人里離れた山や自然に囲まれながら自らの理想的な知性とサバイバルを学ばせていた。
共に狩猟やハードトレーニングをして身体を鍛え、最良の哲学書を読み与え、最良の人生を歩めるたくましい人間に育てようとしていた。

そんな矢先、都会で精神疾患により療養中だった母が手首を切って自殺したという一報を父は聞かされ、子供達と山を降りることを決意したのだった。


プレゼントにおもちゃよりもナイフを渡されてテンションが上がる子供達。
アメリカ憲法を空で暗記し、しかも自分の解釈で説明出来る8歳児。
などなど。

ボーイスカウトどころのレベルを優に越えた超人的な知力と体力をすでに得ている子供達。
一歩間違えればイカれたギャグ漫画設定になりかねないストーリーだが、
しっかり本当の教育とは何か、魂の在り処とは何かを提議する内容には好感が持てた。


一流の英才教育、と聞くと殆どは有名大学やプロスポーツ選手へのレールをイメージするわけだが、この父親にとっては自我と自然への敬意を持つ人間を育てたかったのだろう。

それは崇高だけど、この現代社会においては余りにも孤高すぎて異質だ。無謀ともいえる。
自然を求める人間ほど不自然なヤツ、それが世の中だ。

もちろんその壁にぶつかるり戦うのが本作の見どころで、彼らが最後に下した決断、言い換えれば選んだLIFEに自分は涙が出た。

果たして父は彼らを良き人間に教育したのか、それとも青春を奪ったのか…

賛否あると思うが確実に言えるのは彼らの家族愛は世界中のどのファミリーよりも厳しく尊く美しかった。
ピッツア橋本

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