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イマジンのriyouのレビュー・感想・評価

イマジン(2012年製作の映画)
4.6
視覚障害者の診療施設の話。主人公イアンは反響定位という方法などを用いて杖なしで生活している。イアンは施設の患者たちにその方法を教えていく。
見えない彼らは頻繁に「見る」「見える」という言い方をする。音を聴き、匂いを嗅ぎ、触り、そうやって物を「見る」。イアンは言う。「物が語りかけてくるだろう。それを聴くんだ」と。なんて美しい言葉だろう。お前は何も見えていないと言われたように感じた。
映画は見るものだ。しかしこの映画は見せない。カメラは盲目の彼らを捉え続ける。彼らが話題にしている対象はあまり映されない。彼らがやっているように音と匂い(これは映画では残念ながら直接には伝わらない)からイマジンしてみろと言われる。
この映画を観た後、街を歩くときふと目を閉じて物の声を聴こうとしてみる。なかなか聴こえない。

映画が目の見える人のものだっていうのはクリティカルな一撃で、そもそも僕の生活なんか目が見える人のものでしかなく目の見えない人のものを考えたことはほとんどなかったかもしれない。
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