ルイまる子

アリスのままでのルイまる子のレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
4.0
ジュリアン・ムーアが上手い!彼女の事ずっと好きでどの映画を見ても心に残っているが、今作品も同様。ミリ単位で心の変化を魅せてくれて圧巻!

それにしても昨年のアカデミー賞主演女優賞だというのに、なんでこんな日本の上映遅いの?アメリカのアカデミー賞時と少なくとも同時には観たい。。

【ここからネタバレ】

いわゆる若年アルツハイマーの症状がいかに進んで行くか。いかにもこれが現実だろうと痛いほど思った。

若年だからこそ今後が永い。アルツハイマーになってすぐ亡くなるならまだましで、まだまだ生きて行くんだろう。だからSTILL (まだまだ)ALICE(アリスのまま)なんだろう。アリスは50歳コロンビア大学言語学教授で、人生ずっと脳を遣う仕事を積み重ねて来た。なのに、どんどん後退していく、これほどの屈辱はない。でも、アルツハイマーは誰でもなる。こんなインテリもなる。だからこそ、彼女の築き上げて来た財産が日に日に失われて行く悲しさが胸に迫る。

家族、皆いい人だが、結局一番末の演劇をやっている娘、常にきれいごとじゃなく真実を口に出していた誰よりも心優しい彼女、でも人にはなかなか理解されにくい末っ子が母の面倒を看る、他の上手くやっている長女や長男でなく、愛妻家のような夫でもなく。。。(ここも真実だ。どんな仕事をしていても、犠牲に出来る人と出来ない人が居る。勿論、仕事を犠牲にしてまで母親の介護しろとは思わないが、それをする子供としない子供が居るということ)。

自分の家庭でも全く同じシナリオだった。脳梗塞になった母を誰よりも看病したのは、良い子のふりばかりの兄弟や父ではない。家族の中で、なんでお前ってそんな事ばかり言うの?なんでそんな変なことするの?と年中反抗期のように言われていた、余り器用でない人が一番面倒を看る。これも真実。

結局この世の事象に対し正直なリアクションを取る人。一番真実に直面する勇気のある人というのは、幼い頃から誤摩化しを知らず、本当の事を口にし、本当の気持ちのまま行動する。だから嫌われるが、結局の所、親の面倒もちゃんと看るのだ。


色んな事が余りにもあるあるなので、ただの映画というよりドキュメンタリー?と思えるほどでした。

ただ、高額所得者の話ですからなんだかんだ言ってアリスは幸せ者です。
ルイまる子

ルイまる子