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アリスのままでのkunicoのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.5
「私の頭の中の消しゴム」や「妻への家路」など、記憶障害のパートナーを支える側から描いた作品は今までもいくつかありましたが、アルツハイマーと闘う本人の視点から物語が進むのは「アリスのままで」という映画の特徴。

バリバリのキャリアウーマンでありながら3人の子供に恵まれ、幸せな結婚生活を送るアリスに突然降りかかる不幸。
家族性アルツハイマー病と診断され、事態はアリスのみの問題では無くなっていきます。
今誰よりも辛いのは彼女のはずなのに、遺伝子検査で陽性だった長女に謝るシーンは観ていて胸が苦しくなる。
そんな時に検査を受けないと決めた次女のリディア。
物理的にも精神的にも母親と距離のあるリディアの言動が、実は1番思いやりに溢れてたりします。
時間があればスカイプをつなぎ、例えそこで喧嘩になっても母親を責めない。
父親がアルツハイマーの母親を置いて単身赴任をすると言えば、長いフライトを経て実家へ戻ってくる。
母アリスとの時間を何よりも大切に思い行動しているのは、実は最も彼女と確執があったリディアだと思いました。

病気がテーマの映画でありながら、無理やりなお涙頂戴の作りではなく爽やかな感動を貰えます。
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