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LORO 欲望のイタリアのkunicoのレビュー・感想・評価

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)
3.2
ソレンティーノ先生の映画を観る時の心構えとして一番大事なことは、「ただ揺蕩うこと」だと思っている。
とはいえ今回はあまりに退廃的な前半に辟易とした。酒池肉林が下品すぎるよ、ハーモニー・コリン罪です(造語)

そんな乱痴気騒ぎもひと段落し、フルメイクのトニ・セルビッロが登場してからグンと面白くなる。
やりすぎやりすぎ!と笑いたくなるようなベルルスコーニ元首相に対する痛烈な批判とユーモアたっぷりな皮肉の羅列。
それまでたっぷり見せられてきたミュージックビデオの風な全裸わっしょいMDMAわっしょいはどこ行った!?くらい喋る喋る。
多分大笑いしながら観て良い映画だった、整形植毛モンスター(口から加齢臭)が目覚めたら横で笑ってるシーンとかは特に。

ソレンティーノの映画は、すごく美しいけど毒を孕んでる。
その毒が、奇抜で、魅力的で、到底自分には想像できない景色ばかりを見せていく。
だから、揺蕩うことが大事。

羊に始まり、キリストで終わる。子羊の様に怯え寒さの中倒れる姿も、崩れた瓦礫の中から輝きを失わず掘り起こされる姿も、どちらも国民の顔である。
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