タオリー

ボーダーラインのタオリーのネタバレレビュー・内容・結末

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃ良かった。

娯楽アクションではないからアクション自体は少ないけど、そこに至るまでの過程の緊迫感が全体を通してすごかった。
場所の俯瞰映像が多いのも良い。
観ている側にとって状況が把握し易くリアリティも感じるから、そのシーンの意味する状況のヤバさがひしひしと伝わってくる。

特にメキシコ身柄引き渡しのシークエンス。
観客は言われるがままに連れてこられたエミリー・ブラント演じる主人公の視点で、何が起こるのかが予測できない恐怖がずっと続く。
不気味な音楽も良くて、下手なホラーよりよっぽど怖い。

同時にメキシコ麻薬カルテルを巡り人生や価値観を翻弄される人々の心理面も丁寧に描かれていて、表層的な事柄に留まらない重みが作品に加わっていると思う。

単に利用されて挙げ句に屈辱的な形で彼女が持っていた信念まで壊される・・・もう彼女は再起不能なんではないかと思わせるような苦い苦いラスト。
ここまでするかと。
エリートで、しかも冒頭にあった様なハードな場数を何度も踏んでいる彼女ですら打ち砕かれる現実。
観客にとっても、主人公だからって安易にヒーローになって活躍するわけないだろ現実を見ろって突きつけられている気もした。
ある意味スーパーヒーローものとは対極。

エミリー・ブラントはもちろん、脇を固める俳優達も良かった。
ベニチオ・デル・トロの不気味な掴みどころのなさ。
ジョシュ・ブローリンの明るいサイコパス感。
ダニエル・カルーヤの優しさと誠実さ。

『ゼロ・ダーク・サーティ』や『ブラッド・ダイヤモンド』が好きな自分には非常に刺さった。
こういう作品もっと観たい!
タオリー

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