タオリー

Mのタオリーのネタバレレビュー・内容・結末

M(1931年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

フリッツ・ラング初のトーキー作品。

この時代に映画としてここまで完成してたんだという驚き。
違う組織の会議の様子を内容をリンクさせながら並行して描いているシーンや、場面転換の繋ぎ方等、今観ても違和感ないです。
外から窓を通り抜けて中に入るシーンは一体どうやって撮ってるんですかね・・・?

幼女連続殺人鬼役のピーター・ローレ、その容貌を活かしている事は間違いないけど、演技もとても良かった。
ターゲットの子供を見つけた時の恍惚とした表情、突然男から罵声を浴びせられた時の動揺の仕方、終盤の錯乱状態等、見事です。

また、パニックに陥った群衆が疑心暗鬼になり吊し上げを行ったりヒステリックに私刑を行うのは、殺人鬼とは違った社会の怖さがある。

ストーリーも、警察が殺人鬼を追うだけではなく、闇経済で生きている人達も関わってきて予想しない方向に進んでいくので一本調子じゃなくて面白い。

犯人が新聞社に犯行声明を出すのは劇場型犯罪っぽいけど、あくまで捜査の手がかりとしてしか言及されてなかったから、この映画ではあまりそういう要素はなかった。
あと窓辺の机に筆跡が残っていた事が犯人特定の決め手になるけど、これはさすがに筆圧強すぎじゃないですかね・・・?

意外なストーリー展開と見事な撮影技術で、今に通ずるサスペンス映画だと思う。

あとこの映画を観ると、ヴァロットンの"ボール"を思い浮かべてしまう。
タオリー

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