まっどまっくすこーじ

ボーダーラインのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
5.0
これはヤバい!!
好きすぎるタイプの映画でした~!!(≧∇≦)

決して万人受けはしないと思うけれど、私の琴線にはビリビリきちゃいました!!

評価は満点にしちゃいましたが、好き嫌いは別れるかも…


ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品というだけで一筋縄ではいかないぞ、と構えて観に行ったのですがストーリー自体は解りやすかったと思います。

ただ展開はミステリアスになっていて、グイグイ引き込まれました。

アメリカとメキシコの国境(ボーダーライン)地帯を舞台にした麻薬戦争の実態を、人間の善悪の境界(ボーダーライン)のメタファーとして描いたハードなクライム・ムービー。

とにかく緊張感が凄い。
全く気を緩めさせてくれないヴィルヌーヴ監督はサドに違いない。

BGMも不安感を煽ることこの上ないものでした。
(音楽はヴィルヌーヴ作品では「プリズナーズ」でも担当していたヨハン・ヨハンソン)

緊張感溢れる空気を作り出している中で大きな要因となっているのがリアリティを追求した描写。

単にグロいとかではない死体。
本物に聞こえる銃声。

カメラがいろいろな視点からシーンを掴み取る。
暗視ゴーグルを着ければレンズも暗視レンズで撮る。

そうして観ているうちに、そのカメラが、レンズが、視点が観ている自分と同化していき、スクリーンの中へ放り込まれる。


もう全てが不穏。

ただ観る者を不安にさせるならホラー映画のように撮ればいいでしょう。
だが本作はそういう技法ではない。

昨年観た「ナイトクローラー」も稀に見る不穏な空気を漂わせた傑作でしたが、本作は更にその何倍もの不穏感に満ちています。


このヴィルヌーヴ監督の演出を具現化しているのが撮影監督のロジャー・ディーキンス!!

もうスクリーンに映る全てが凄いけど、特に私が震えたのは空の表情。

雲がまるで絵画のように妖しく鈍色を放ち、トワイライトで紅く染まっていくのが、まるで人間の罪が血で染まっていくような…
それがまた禍々しいばかりに美しいのです。

その空の下で人間たちがそれぞれの思惑で蠢いているというコントラスト。

ディーキンスは超ベテランの撮影監督ですが、今までアカデミー賞に13回もノミネートされているのに1回も受賞してないという無冠の帝王です。
本作もノミネートされてます。
というか直近の4作品は全てノミネートされているのに…
やはり今年まで3年連続アカデミー賞授賞という偉業を成し遂げたエマニュエル・ルベツキが天才すぎるということなのだろうか…?

でもディーキンスはこれからも進化し続けると信じています(^-^)
このあとコーエン兄弟の「ヘイル、シーザー!」(5月13日公開!!)でも撮っていますので是非!!
そしてヴィルヌーヴ監督との次のタッグは「ブレードランナー」!!
いったいどういう映像になるのか超楽しみです~!!(≧∇≦)
※後記
「ブレードランナー2049」でついにディーキンスがアカデミー賞撮影賞を獲りました‼👍
おめでとう~~~‼!😆


さて、主演はエミリー・ブラント。
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」では見事なアクションで魅せてくれましたが、本作でも男勝りのFBI誘拐即応班の隊長という役どころです。

とても強い意思を宿した眼を持っている女優さんだと思います。
本作ではその彼女のキャラクターが活かされていて、ハードな状況に女性がいても違和感のないものになっていると思います。

ペンタゴンの特別捜査官にジョシュ・ブローリン。
いつもながらのアクの強いキャラと演技。
いや、いろんな役ができる方だとは思うんですよ。
でも私が彼を観たのは「トゥルー・グリット」や「シン・シティ 復讐の女神」でしたので…

そして本作の最重要人物がベニチオ・デル・トロ!!(≧∇≦)

本作と同じく、アメリカとメキシコを舞台に麻薬戦争を取り上げた「トラフィック」という映画があるのですが、トロ様はそちらでも高い演技力を見せて2000年度アカデミー賞助演男優賞をゲット。

その「トラフィック」の時よりも本作のトロ様のほうが私的には好きです。
まるでダースベイダーみたいなダークな魅力。
もっともっとトロ様を観ていたいと思わせるキャラと演技でした。
いやほんとに良いわあ…(((・・;)


とッ散らかったレビューで申し訳ないのですが、とにかく私は本作のような映画は大好物でして、121分間の緊張感を快感に感じました。

原題は「SICARIO」ですが(意味は映画の冒頭で説明されます)、邦題の「ボーダーライン」のほうがテーマにしっくりくると思います。

最初に書いたように万人受けする作品ではないかも知れません。

ただ私には本当にヤバい映画でした。


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この日の3本ハシゴの2本目でした。
1本目がコメディ、本作はハード・クライムと来て最後は感動ものを…