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ボーダーラインのkotchanのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.3
冒頭のショッキングな映像から早くも生理的な嫌悪感を抱く方もいるでしょう。
乗り切って下さい。
アメリカからメキシコ・フアレスへ舞台が移り、首なし全裸の死体がいくつも吊るされる残酷な映像が飛び込んできます。
もう一度乗り切って下さい 笑。
以降はほぼグロ無し(だったと思う)。

危険な麻薬カルテルの世界に捜査チームの一員として足を踏み入れるケイト(エミリー・ブラント)。先の見えない作戦や違法な捜査方法に徐々に不信感が‥‥。
ニヤついた曲者リーダー・マット(ジョシュ・ブローリン)の胡散臭さも相当なものですが、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)の目のすわり方はもう普通じゃない 笑。えーと、堅気の人じゃないですよね?ってくらい「こいつはマジでヤバイ」雰囲気を全身から放ってます。
フアレス地区の街並みや広大な自然風景のロングショットや多彩な角度からの空撮は、さすがのロジャー・ディーキンスの映像美。
ヨハン・ヨハンソンの重低音の音響は、終始不穏な空気が漂う作中の世界観にうまくハマり、より一層不気味さが増しています。

それまで信じてきた正義や信念といったものを見事なまでに打ち砕く、ヴィルヌーヴ監督の超骨太クライムサスペンス。
ケイトとアレハンドロを対極に位置づけ、対峙する2人の間に見えないけれど明確な境界線を引き、善悪の基準や生きる世界の違う人間をリアルに映し出す。ヴィルヌーヴ監督の破壊力を感じる素晴らしい作品です(๑˃̵ᴗ˂̵)
個人的にはエミリー・ブラント演じるケイトが魅力的に感じましたね。
今作だけで潰してしまうのは本当に惜しい。
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