わかりやすいアクションではなくて、サスペンスとドキュメンタリーの境界でした。
娯楽として楽しむには、なかなか重苦しい内容なので苦手な方にはおすすめできません。
麻薬組織のメキシコカルテルを撲滅させようと、選ばれた特殊部隊の極秘任務の難しいお話でした。
日本では法の秩序に守られているので、そうそう殺しや暴力を目の当たりにすることはない。
だけども世界のどこかでは秩序のない国や地域があるわけで、そこでは麻薬組織は絶対権力で公共の場所でも殺しが頻繁におきたり、銃声が聞こえたり、そこらに死体が転がっていたり、警官による汚職やひどい拷問、違法な捜査、暗殺は日常茶飯。
僕らの生活ではそんな世界があることは一ミリも想像できなくて、まさに映画のような世界。
主人公のエミリーブラント演じるケイトも僕たちと同じでアメリカの法の秩序に守られたFBIの一員でした。
だから国境先のメキシコでは考えられない、殺しや事件ばかりでなにが善でなにが悪かのボーダーで血迷い精神的に狂ってきます。
映画では彼女自身、身体的にも精神的にも影響を受けて暴力欲求が増している。
これが普通だと悪が良いと感覚が麻痺している人が一人でもいたのなら、平和とは程遠い。
やはりどんな状況においても悪は悪であって善は善である。これは最後のシーンで改めて思う。
どれだけ悪い凶悪犯や悪いことをしている人でも家族や愛する人がいるが、かけがえのない人に少しでも危害が加わるのならそれ自体が悪が原因ではないか。
誰かを殺せば、悲しむ人がいて恨む人がいてそれはどんな形であれ、何百倍の悪となって帰ってくる。
子供がいつか大人になって親を殺された真実がわかってしまったらどうするだろうか。
どんなに善であってもどこかでなにかをきっかけに悪に落ちるだろう。悪と悲しみの連鎖をどこかで立ちきらなければいつまでも止まることはない。
そのためには自分の行おうとする悪のせいで家族や恋人、友達をどれだけ傷つけ苦しめることになるのか想像することが必要だと思う。
大切な人を傷つける結果になると分かっていたら誰もそんなことはしたくないはずだ。
タイトルである暗殺者とはまさにそういう意味だと思う。
法の秩序がなかったとして仇をうったとしても傷は癒えることはないし、また新たな悪が生まれる。
法で裁かれなければ、罪の意識は善悪は麻痺しまたどこかで誰かが苦しむことになる。
メッセージ性が少し弱くてさらに麻薬組織関連なので分かりにくく、理解に時間がかかりましたので、この点数にしました。
自分がどれだけ平和ボケしているのか、幸せなのかは痛いくらいにわかったので、改めて観て良かったと思う。