ミュージカルで作る意義をフルに発揮した、ミュージカルでしか語れない物語。
百万言を費やすよりも名曲一曲。言葉に尽くせない感情、縦横に往来する時間、奥行きのある背景までが凝縮される。
重厚なコーラスと群舞を満喫している間は、劇中の人々の気持ちがじかに触れて来る感じがして、彼らに寄り添いながら喚起される私の思考や感情も一気に解放される。
ミュージカルのこの四次元的に自由な味わいは本当に好き。
(いつの日か、美声で鳴らす我が最愛の推し俳優が、本作のような王道ミュージカルを演じてくれまいか)
名高い名場面たちも鳥肌が立つ素晴らしさだったが
私が一番泣いたのは序盤、貧しかった主人公が、幼い娘たちに精一杯の歌のプレゼントをするところ。彼の妻は今この時地上一幸せだろうなぁと。人の幸せはお金でも成功でもないんだなぁと、凄まじい説得力。
画も歌も美しすぎて、ぼろぼろ涙が出た。