Filmarksオンライン試写で鑑賞。
◆「青天の霹靂」に劣らず、今作も某シーン以降ラストまでぜんぶ嗚咽ターン。
あんな幸せな場面なのに、何かもう胸一杯で抱えきれず、ただスポンジになって無抵抗にジャアジャア絞られる。最高に幸せな観客じゃん。
歌乗せ長回しの四次元トリップ、あんなにも愛慕に溢れたタイムトンネルはない。リピート凄い、依存症なりそぉ。
◆すでに著名な原作、生けるレジェンド北野武の逸話は知り尽くされてる。
対する台本は決して饒舌ではない。むしろ愚直なまでに球種はストレートひとつきり。
それでも見応え大満足の映画として成り立つ画の豊穣、素晴らしい。あぁあ大スクリーンで観たかった！ それだけが無念。
★ ★ ★ ★ ★
と思ってたらこんなものを発見↓
https://www.dreampass.jp/m379889
毎日しつこく投票し続けたらめでたく上映候補になりました！
やいやいやい劇団ひとり企画にGO出さなかった配給会社ドモめ、きっと大スクリーンでも観てやるぞ‼️
◆千春の踊りやタケシのタップダンスの重層描写、第１作より演出はスマートに洗練されて感じた。あざとくなるキワできちっと退く、ひとり監督は意外なほど品が良い。
語り口より何より、端々までとにかく監督の熱愛が横溢してる。撮ってやる見せてやるぞ、どうだ！って圧が全然ない。あって当然の欲がない。
ただ誰よりも監督が観たかっただけなんだろうな…って奇跡のような純愛しか感じない。
欲しい画に対する貪欲さや執念は凄まじいんだろうけど、それ以外の我欲がない。
それで、業界内の柵や上下関係ありありだろう、関係者めっちゃ存命な只中で撮られてても、良くある卑しい感動ポルノなんかとは対極にある清々しい後味なんだろうなーと思う。
監督のそこのところが私は一番好きなとこ。だから賞とかは無縁なんだろうけど(笑)
我が最推し俳優を、それぞれ最高の撮り時に２度も主演で使って頂いて、このご恩は一生忘れない。
◆今回も光とカメラが素晴らしい。なんて綺麗に撮って下さるか。
場末の小屋と路地と踊り子、むしろヨーロッパ映画とも親和性が高そうな質感と湿度。
キタノを敬愛する欧州の観客にはどんな風に受け止められるのだろう。とても興味深い。
◆面子や意地や拘り、どうにもしようがない物で陥った人と人との愛すべきどん詰まりを、
弟子のギリギリの毒気と師匠の絶妙な返しが一閃笑いに転じ、誰をも傷つけず鮮やかに弾き飛ばす。
ピタリと決める師弟の呼吸に、何度も何度も痺れた。笑い、話芸が粋だったらない。
◆芸道と人情と昭和懐古と、けっこう盛り沢山に詰まってるのに食傷しないし、かといって浅くも薄くもない。
良いもの見たなぁーー！って放心状態がもう３日続いてる。
ひとり監督って根は凄くストイックな人なんだろうなー、と想像している。
また撮って。その頭の中の画を皆んなに観せて。３本目も超待ってる。本当に本当に大好きだ。
