「サーカス」という形式と、それからイメージされるあのスタイルを作り出した人のお話し。
今でこそ、サーカスは華やかなショーだけど、ひと昔前はやはり見世物小屋的な社会とは隔絶されたアウトローなイメージで、彼を「グレイテストショーマン」というには、綺麗にまとめすぎてるかなーという印象でした。
当時は今よりも社会も偏見に満ちていたと思うので、その辺りの葛藤などあまりにサラッと流してる感じは否めませんでした。
でも、楽曲と映像、歌とダンスはとても素晴らしく、メッセージも感動するのだけど、その歌とダンスに目を奪われて何か大切なこと見落としてるような感じもしました。
最後、娘が上流階級の子たちとバレエを踊っているシーンを見て、結局のところバーナムは白人の成功者であり、サーカスの彼らとの間には交わらない一線があるのだと思いました。
社会的な成功を捨ててバーナムのパートナーになり、偏見を乗り越えてアニーを愛したフィリップが一番好感が持てました。
チャリティを迎えに来たバーナムが、いきなりヒュー・ジャックマンで、え、何十年待ったの?!とか、それはオペラなのかい?とか気になったりもしたけれど、
でもまあ、細かい事気にせず深く考えなければとても楽しめる映画でした。
映画というより、まさにショーとかPVとかを見ている感じ。
やはりヒュージャックマンの歌は素晴らしく、とても華があるなーと思いました。
…と、初見では思ったのだけれど、その後映画の音楽が頭から離れず、YouTubeで予告など漁り、結局もう一回映画館へ行き、サントラも買いましたー。
ハマってます、すっかり…。
バーナムは確かにお金のために上手いことを言って皆を利用しているけれど、彼は雇い主であり経営者なのだし、それまではフリークスの皆は社会からいないことにされていたところをバーナムによって居場所を得、生きる力を得たのだと思うと良かったのかなと思い直しました。
ペテンだ詐欺だと言われても構わない逞しさは、彼の生い立ちから得た生きる術なのだなーと思いました。
後半、全てを失ってバーで飲んでるバーナムが皆と一緒に気力を取り戻し、家族の元へ全力で走る姿に思いが溢れるようで、ヒュージャックマンはすごい俳優だなぁと思いました。
フィリップが良い人すぎて、ちょっと心配です。
それにしても、歌のシーンの引き込み力は凄いです。
監督が、CMやMVの監督をしていた人で、今回映画を撮るのが初とのこと、すごーく納得です。
また映画館いくかもしれません。
…結局3回目映画館で鑑賞。
思うにテンポが速くて歌がキャッチーだから感情を感じる前に話がどんどん進んで、初見だと話に深みがないように感じるのかなと思いました。
3回目ともなると細かいところも見えてきて、歌詞の意味なども感慨深かったりしました。
特にバーナムがフィリップを口説くシーン、取り分の掛け合いで「だったら半分と言ったらどうだい!」「〜これでパートナーですね」「いや取り分の多い弟子だ」みたいなやり取りがあり、最後サーカスを立て直すのにフィリップが自分の貯金を資金にする代わりに取り分は50で、と言いバーナムがパートナーだな!というシーンとか、いいシーンだったんだな!と思いました。
ヒューのインタビューで、オリジナルミュージカルは、ゼロか100でリスクが大きく映画化までこぎつけるのが大変みたいな話をしていて、それでキャッチーな楽曲とダンスに重点を置いた仕上がりなのかなと思いました。
実際、口コミで人気が上がり私も含めて何度も映画館に足を運ばせるだけの魅力のある、ミュージカル映画としてはとても成功した名作だなーと思います。