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ネオン・デーモンのpanpieのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
4.3
観た後の衝撃が凄くて勿論何回も観たんですが仕事中もあの曲が頭の中を駆け巡っておりました。(^^;;



高校生のジェシーがロサンゼルスのモデル事務所を訪れモデルの契約をする所から全てが始まる。
親切にしてくれるヘアメイクのルビーに先輩モデルのジジとサラを紹介される。
二人とも彼女の素の美しさに魅了されながらも先輩の意地からなかなかそれを認めないがどこもいじっていない(整形していない)彼女の素の美しさに驚きつつ周りのジェシーへの態度や一瞬で魅了される目つき、そして自分は幽霊同然に見てもらえない事に気付かされ次第にジェシーへの黒い嫉妬が渦巻いていく。


ちょっとこれ〜!
私凄い好きでした!
エル・ファニング綺麗すぎ!
彼女の他にこの役出来ないでしょ!
エルの田舎娘っぽい所からの目覚めていく目つきの変わる所が超いい!

あのジャケ写であまりにも有名な映像から始まる。
首から血を流してソファに横たわるジェシーが死体なんだと思っていたのでこのスタートには意表を突かれた。

色彩が非常に綺麗な作品。
レフン監督は中間色が見え辛い色覚障害があるそうでこの独特な美しくも強烈な色彩へのこだわりが今作から観て取れる。

ストーリー的に女の汚い嫉妬の渦巻く世界を描いていてこれもしかしたら男の人は共感できなくて無理なのも仕方がないと思いました。
私だって女である事以外はこのモデル業界と何ら接点はないと断言できますがなんだろう、この惹きつけてやまないのは!
出ている人皆が美し過ぎるのだけど今作のエル・ファニングはその中でも飛び抜けて輝いている!
これはひとえにレフン監督の手腕であってエルの透ける様に白く美しい肌に誰も勝てない。
観ていて痛々しい程。
モデル達はジェシーがデザイナーやフォトグラファーと寝て役を勝ち取っているのか知りたがる。
そんな手を使わなくても彼女の作り物ではない本物の美しさに男達は一瞬で魅了されひれ伏す。
メイクや衣装だけではないのだ!
真の美を彼女に見て虜になって行く様はウブでダイヤモンドの原石の様な何かを持っているジェシーにまるで取り憑かれているよう!
ランウェイのトリを務める事になったジェシーはそれに気付いてしまった。
もう田舎娘ではない。
「私ヤワじゃないから」
都会に出ていて少し怯えていた少女はもういなくてジェシーは開花した。
アビー・リー・カーショウもベラ・ヒースコートも足元に霞んでしまう程のランウェイ後のジェシーの美しさに見惚れた。
挑んでくる目つき。
やばい。
私綺麗な女の子は好き。
ちょっと危ないと思いつつまた何度も観てしまった。笑


余談ですが「ジュラシックパーク3」のビリー役だったアレッサンドロ・ニヴォラがジェシーに取り憑かれるデザイナー?の役で出てましたね。
小さい時の娘が何故か「ジュラシックパーク3」にハマって何度も吹き替えで観ていました。
ちょっと歳をとって髭が生えていたけどすぐビリーだと分かって娘に見せて家の中だけで大騒ぎしました。(^^;;
後キアヌが嫌な役でしたがこれってストーリー上必要な役だった?
キアヌでなくてもいいし役自体必要だったかなと首を傾げました。
でもキアヌの役は唯一ジェシーに魅了されない男を描いていて私には読み取れませんでしたがもしかしたらとても必要な役だったのかもしれません。


ジェシーは意外に勝気で上昇志向の強い女の子だったけど都会においてあまりに無防備すぎた。
彼女の徐々に研ぎ澄まされて行く美しさと裏腹に高飛車な態度が死を招いていく様はあっという間でそれすら美しく感じてしまった。
私ってやっぱり変態かも。笑
変態映画大好き!

隣の部屋の女の子の泣き叫ぶ声を聞いてジェシーは壁に耳と手を付けて聞き入っているシルエットは影絵のような美しさだった!

ルビーは死体に化粧を施しているのが本職なのかバイトなのか分からないけどジェシーが逃げ込んだルビーの家はプール付きの豪邸でルビーは郵便のチェックや庭の植物に水をやったりして住んでいないと言う。
ん?これもバイト?
ルビーが物凄く謎を秘めていて最後のアレに行き着くまで観ていて彼女がモデル達を操っているボスだったのではないかと思った。
ジェシーの部屋に現れた山猫といいルビーの屋敷の豹の剥製といいジェシーを狩る物を暗示している。






↓ここからネタバレあります。↓








何度も観ていてナイフのサイズがジジがペティナイフだったのに対してサラはでかい刃の長い包丁を持っていて逃げるジェシーの足を切りつけたりして本気の違いが分かり易く表現していたと思った。
もうここからは怒涛の展開で恐ろしいシーンはいちいち見せないのだけど 変な格好で落ちたジェシーの泣き顔からの血だらけの3人の姿に画面が急に切り替わって戦慄した。
何が起こったか一瞬にして分かってしまう!
顔中耳まで血だらけのルビーと全身血だらけのジジとサラのシャワーシーンでジジが口をもぐもぐさせているのが分かってしまった!
ひえ〜まさか!

事の後恐らく次の日プールに水を撒いてる所や庭に掘ったらしい穴を埋めた土の上で抱きしめる様にキスする様に寝転ぶルビーの様子に鳥肌が立った。
ああ、埋めたんだなって。

ルビーの床に横たわり恍惚とする表情を浮かべてあそこから血を放出するシーンはジェシーを自らの身体に取り込んでエクスタシーを感じているルビーの笑顔に戦慄が走った。
ジェシーは迫られたあの時ルビーを拒まなければこの業界を上り詰めていたのだろうか。
選択ミス?
まさに天国の地獄。
恐らくそう思うがそれも一瞬の事だったろう。
上り詰めたジェシーをまた違うダイヤモンドの原石の様な少女が現れて繰り返された事だろう。

事の後ジジとサラは撮影場所へ急いで車を走らせる。
この二人の明と暗を象徴する様にかたや腹を切り裂きかたや吐き出された目玉を拾い上げ口に運び飲み込んで仕事に戻るタフさに必死に食らいつくモデルという職業の過酷さと真剣さを観た。
ジェシーが現れるまでトップの座に就いていたジジの転落を蔑んでいるかの様なサラの演技が本物にしか思えなかった。
「MAD MAX」で子産み女だったアビー・リー・カーショウが痩せすぎていてゾンビにしか見えない!
でもラストはジェシーを取り込んだからだとでも言いたげな程眼を見張る様な危ない感じの美しさのサラも演出?
「前に会った?」とフォトグラファーに言わしめるとは!
その後こっそりと微笑むのがまた怖かった!

モデル業界ほんと怖すぎ!
本当の主役はもしかしたらサラなのかもしれないと舌を巻いた。
サラは本物だ〜!
本物のモデルを使う辺り凄い計算されていると思ったのは私だけ?
いや〜面白かったです。
評価分かれる今作を面白いと思う私は心が黒いのかもしれません。笑
私の中のルビーやサラが喜んだのかもしれないな、なんて思ってちょっと怖かったです。(^^;;
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