Kuri

ブルックリンのKuriのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
3.9
宿泊先の隣の映画館で上映されていたので、ようやく観れました。

女の一代記を切り取った物語であり、その中に大きな破綻があるわけでもなく、つまり一昔前の"NHK朝の連続ドラマ"に似た品のよさ、収まりのよさを。
もちろん、
そこには隣り合わせの退屈さの危険もありますが、画面全体を全編通じて一分の隙なく作り込んで、言葉よりも画面に映るもので物語を語っているので、気持ちを緩めずに緊張感ありながら清々しい気分で見られました。
すんなりと終わっていくのも味わい深い。

主人公が最初にアメリカの門をくぐる瞬間では、まるでそこがエンディングかのような不自然なくらいに明るい光に包まれていたのを不思議に感じていたのですが、最終的にそこで終わってもよい話なんだなと思い返して納得。
見知らぬ孤独なもの同士がすれ違い、語りあって、自分の場所を作り上げることがかつては出来た場所、本当の主役はタイトルにもなっているブルックリンの街、光に包まれていたアメリカという国なんですよね。
かつてその門をくぐったものにも、再度その門をくぐるものにも、新しくその門をくぐるものにも、等しく開かれた厳しい場所。

排斥主義が広がる世界で、今描くからこそ意味がある話だと思いました。
Kuri

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