Narmy

ブルックリンのNarmyのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
3.8
アイルランドで母と姉と暮らすエイリシュ。
エイリシュが週末だけ働く食料雑貨店の店主ミス・ケリーは従業員の話はろくに聞かないし、お客もお金持ちだけをあからさまに差別する。
そんなミス・ケリーにエイリシュがブルックリンに行くことになったことを伝えるところからストーリーは始まる。
このオープニングだけでも、アイルランドでエイリシュの置かれている状況、地域の雰囲気を感じとることができる。

アイルランドの町並み、ブルックリンの街並み、大きく全形をえがくというよりは、一つ一つ丁寧に細かいところをえがき、同じ景色や空間をみせることでよりその国どおしの対比が強調されるようになっている。
この時代にアイルランド人がたくさんブルックリンに来ていて、帰郷することのできないアイルランド人が沢山いたということ。
そんな哀しい現実の中で少しづつ変化していくエイリシュ。
慣れないブルックリンだけど、誠実に暮らしていれば、心の壁はとりはらわれていき、そこに自信を持つという言葉が後押しをし、生まれ変わっていく。

今作でなにより素敵だったのは、やっぱりエイリシュ。
変化もものすごくスタイリッシュに変身というよりは、淡い色彩をいかし、あくまでもお淑やかな雰囲気を保ちつつ内面を磨いていくので、かなり好感がもてる。
そして要所要所で緑色が目を引き、どちらの国でもエイリシュによく似合う緑色がアクセントになることで、心の芯の部分が確かなことを印象づける。

後半部分にある迷いも初めはえっ?と思ったものの、何となく気持ちは分かるような気がする。
誰に何を思われようとも、自分のスタイルに自信を持っているエイリシュがえがかれているので、無意識に選択をしていたということなのかな。

ただ、迷って吹っ切った時の気持ちはもう少しわかりやすいとよかったのにな。
自分の意思でえらんでいるんだろうけど、流されている感じにもみえてそこだけは残念。
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