“苦労”の描き方がとても好きだった。
私の父は後天性の障害を持っている。
だから私達家族は食事の手伝いをする。
でも、別にそれがフツーだ。
何とも思ってない。
母も妹も。
ポーラもうんうんって頷いてるんじゃないかな。
百歩譲って
苦労とは他人が決めることだとしよう。
…だとしたらなんだっていうんだ。
苦労しているからなんだっていうんだ。
なかには苦労することがエライことの様に言う人がいる。
そう言う奴は決まって被害者面をする。
赤の他人が見た時にどう評するのかは知らない。
でもこのベリエ一家にとってはこれが“普通”だ。
少なくともポーラは自分が不幸だと被害者面することは無い。
彼女が「苦労している」と思うとしたら、
それは村長のような視線の相手をする時だ。
ごく自然に無意識的に悪意なく差別をバラ撒く人。
「ご苦労様」ってね。
“普通じゃない＝苦労”なのだとしたら、当の本人たちにとってはそういう視線に晒された時がその時だ。
本質は障害の有る無しじゃないんだよね。
そんなこたぁ些細なことなんだよね。
わかるよ、ポーラ。
これはあくまで家族の話なんだよね。
