たなか

ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのたなかのレビュー・感想・評価

4.5
『ブレンダンとケルズの秘密』を鑑賞後に続けて鑑賞。
こちらもとても好き。

本作はより冒険活劇の色合いが強まり、『千と千尋の神隠し』にも通ずる、伝承と今のつながりを感じさせる作品でした。
アイルランド人としてのアイデンティティと物語をとても大事にされている監督なのだと思います。
好感を持つと同時に、私はどれだけ日本のことを知っているだろうかと振り返るきっかけになりました。

伝承のキャラクター(マカ・マクリル)と現実のキャラクター(おばあちゃん・お父さん)とが同じ顔をしていることから、過去と今のつながりを伝えたいのだとわかりました。
シンプルなキャラクター造形だからこそ、つながりがより明確に伝わります。
過去と今をつなぐ役目を、子どもたちが立派に果たしているのも感動しました。がんばった〜えらい〜〜!!

個人的にとても好きだったのは、髪の毛一本一本に物語が記憶されているシーン。
私の髪の毛にも記憶されているのだろうか、と自分の髪の毛をつまむと、ちょっと色々家族との思い出がよぎりました。
作品と鑑賞者の壁を軽々超えて、物語の素晴らしさをやわらかに訴える作風がとてもいいなと思います。

画面の美しさは健在で、そこに音楽ややり取りの面白さが加わり魅力が増大していました。
『ウルフウォーカー』、自粛でずっと観られていないのですがより楽しみになりました。
これからも追いかけます!
たなか

たなか