OASIS

美女と野獣のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

美女と野獣(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

呪いで野獣の姿に変えられた王子と美しい村娘とのロマンスを描いた名作ディズニーアニメーションを実写化。
監督は「ドリームガールズ」のビル・コンドン。

「美女と野獣」の世界を見事に、そしてパーフェクトに実写化する事に成功していた。
原作アニメに忠実に作られた「シンデレラ」ですら、普通で手堅い造りだったと思えてしまうような完成度。
今作以降に作られる、アニメーションの実写化作品に対してのハードルを一段階も二段階も引き上げてしまうような罪深さすら感じる。

今作は、性や人種等の偏見にとらわれず、外見や出自も恐れず自由に自己を表現する事の美しさをより強調していたように思う。
同性愛を匂わせるキャラクター同士のやりとりや、白色人種と黒色人種が入り混じる配役からはポリティカルコネクトレスへのやや慎重過ぎるとも思える配慮が見られたが。

パリでのベルの母親とのエピソードを新たに加えたり、野獣が城から解放したベルへ思いを馳せる曲を新たに追加したりと、オリジナルの魅力を損なわずむしろよりキャラクターの背景に厚みを持たせるような要素が盛り込まれている。
ベルと野獣が心惹かれ合う理由付けになっていたりと、付け足された部分が悉くプラスに作用しており、まるで初めからその形で物語が作られていたように話運びにも違和感が無かった。

単なる一から十まで実写化しようというものではなく、オリジナルを尊重した上で更なる高みを目指そうという試みから、製作陣の並々ならぬ覚悟と作品への愛を感じる。
徹頭徹尾、音楽から衣装から、キャストの演技から、テンポが良く観客を飽きさせないようなストーリー展開から、何から何まで力とハートのこもった本気度の高さが伺える映画だった。
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