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美女と野獣のSQURのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.0
本当に美しく尊いもの、物語の世界に対する感傷、まだ見ぬ世界に対する憧れ、ファンタジーな世界に対するときめき、そして相手を想うこと
その瞬間こそが本当に大切で尊く美しいものなのだと感じた

この映画では乗り越えるべき人間の自由を縛り付ける悪しき規範がたくさん扱われるが
(驚いたことに)そのほぼ全てに対して解答を出している
元を知らないので、今作の独自要素なのかは判断出来ないが、正直ディズニー映画ってどうせ化石のような価値観で凝り固まった映画なのだろう(偏見)と思っていたので衝撃を受けた

例えば、

恋愛至上主義:人は"恋愛"せねばならないという恋愛という型に拘る規範=「魔女の呪い」
呪いを解くために好きになったのではない、と(このあたりはもう少し強調しても良いと思ったけど)

異性愛至上主義:最後の最後のダンスシーン、目配せのようなものだけれど、それでも大きな前進なのだと思う

ジェンダーロール:ドレスを脱ぎ捨て馬を走らせるベル

善悪二元論、おじさんの命を助けてくれる魔女
しかし、善悪二元論については若干の問題があり、結局は悪役をダストン(他者を想うことなく利用しようとする人)に押し付けてるに過ぎない。彼は友人によって、彼もまた"真実の愛"を知るべきだったのではないだろうか

おそらく元々の物語自体が伝えたかった、表面的な美醜で判断しないというテーマは控えめであるように感じた
問題は美醜で判断することではなく、その相手を想うことなく利用しようとする行為でしかない

この映画は、まだまだその余地があるとしても、とても丁寧に偏見や規範意識に気を配っている
そして、故に美しく、感動的だ
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