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黄金のアデーレ 名画の帰還のsmithmouseのレビュー・感想・評価

3.8
クリムトの絵にふんだんに使われる金色から感じるのは成金の下品さでは無く黄金とモデルが醸し出す深い深い神秘性。
マゾな自分はクリムト作の「パラス・アテネ」のゾッとする様な瞳に見つめられたい。
100億回位の分割払いで売ってくんないかな(; ̄O ̄)?

「それはクリムトだからよ」

オーストリアとある一族と名画の波乱の運命を、追われるサスペンス、奇手の入り乱れる法廷劇、当時と現在で共通するオーストリア人とユダヤ人の間の隔たりが上品かつ上質でダイナミックに描いてる。
流浪のバウワー家の栄華、暗い世相と没落がオーストリアロケで一層リアルに感じた。

飴ちゃん勧めてくるヘレンは流石の気品と貫禄だし、レイノルズの徐々に自信が備わってくる成長劇も見応えあり。
過去のパートで見せつけられるオーストリアの人々の偏見とユダヤの人々の苦労とに胸を締め付けられる。
特にマリアの父親フェルディナントの病床での台詞には本当に大切な物は何か思い知らされて泣かされた。

レイノルズ役の息子の名前がネイサンなのは「デッドプール」見た後だと運命を感じる。

時代に流される移り気な人々と黄金と家族の絆の不変性が対比された、ウィーン発LA経由NY行きの旅に出た最後の家族の映画。
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