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完全なるチェックメイトのTrueRyのレビュー・感想・評価

完全なるチェックメイト(2014年製作の映画)
3.5
冷戦時代、ソビエトが誇る世界王者のスパスキー、米国の新進気鋭の若手フィッシャーがチェス世界一の座をかけて争う舞台が主軸。

チェスは詳しく知らないが、この舞台における緊迫感、緊張感、そしてチェスで打ち勝つ事に人生の意義を見出している悲壮さ、そして打ち勝つために必要な孤独さ、がこの作品、というよりは彼の人生のテーマなのだろう。悲しいまでにそれがよく伝わってくる。

周りから見ると異常な言動も自分が定めた目標を達成するためには必要なこと。怪しげな放送を聞いているのも自分が戦う意義をそこに見出しているのだろうし、集中力を保つためには極度のプレッシャーに打ち勝つ特殊な環境が必要。その理解されない状況にいる、というのをお互いが理解している中だからこそ、正々堂々と行われたあの一戦に繋がるんだろうな。

ただ、あの一戦のために2人が、そして関わる人達がどれだけの事を犠牲にしてきたのか、というのに少しの恐怖と畏怖を感じる。

普段、デジタルという論理的なものに囲まれた仕事をしている身としては、少し薄ら寒い思いもした。論理だけではなく、やはりアナログとのバランスが重要である事を肝に銘じたい。
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