みかん

完全なるチェックメイトのみかんのレビュー・感想・評価

完全なるチェックメイト(2014年製作の映画)
2.5
実在した天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーの半生を描いた作品。
チェスの対決がメインではなく、冷戦下の政治的な思惑に翻弄され、疑心暗鬼に陥り精神を蝕まれていきながらも、チェスで“真実”を追い求めたホビーの姿が描かれていました。
モーツァルトにたとえられる奇行の天才も、戦争の駒として時代に呑まれた一人でもあった。
限りないパターンに思考をめぐらせ、感覚が極限まで研ぎ澄まされ、最後はチェスの駒しか目に入っていないような彼の精神状態は明らかに常軌を逸したものだったけど、その天才が生み出す狂気を孕んだ美しい世界に当時の人々も魅了させられたんだろうなぁ。
王座を賭けた世紀の一戦も、彼の不安定な精神状態を強調しているので、物語としての盛り上がりはあまりありません。
邦題どおり、勝負のゆくえは分かっているし、私はチェスの知識もないので、白熱した面白さは感じられなかったです。

あと、この作品に限ったことじゃないけど、本編の最後に実際の本人映像が差し込まれる演出は、個人的に不要だと思う・・・。
伝記ものとわかってはいるんですが、トビー・マグワイアの演じきったボビー・フィッシャーの姿が頭の中で本人映像に置き換わってしまって、なんかもやもやしてしまいました。うーん。
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