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ウェルカム・トゥ・ミー(原題)のGreenTのレビュー・感想・評価

2.5
境界性パーソナリティ障害を持つアリス(クリスティン・ウィッグ)という女性が、$89ミリオン(89億円?)の宝くじを当てて、自分のバラエティ・ショーを作る、というお話です。

障害者の社会保障で暮らしていたアリスは、オプラ・ウィンフリーのトークショウが大好きで、ビデオに撮ってセリフ憶えちゃうくらい観ている。毎日だか毎週だか、同じ時間に同じ店でオプラの雑誌と宝くじを買うのが習慣で、店の人は用意して待っている。店の前でアリスは見知らぬ人にレイプ事件の話をしている。

こういう精神的に障害を持つ人の描写って、毎日決まったルーチーンに執着がある、って描写が多いですよね。ルーチーンが崩れると落ち着かない、みたいな。あと、羞恥心がなくて知らない人でも話しづらいことでも、空気読まずに言っちゃうっていう風に描かれる。アリスの場合は、性的なこと。オナニーとか(笑)

あと、障害を持つ、特に女性は、変な服を着るっていう風に描かれますよね。アリスも、可愛いカッコしているんだけど、色がちぐはぐだったりする。

宝くじを当てたアリスは、まず地元のカジノ・ホテルに住むようになり、運転手付きリムジンで移動するようになり、セラピーと投薬を止める。そして、インフォマーシャルばっかり流している倒産寸前のTV局に$150ミリオン払って、自分がホストで自分のことだけを語る番組『ウェルカム・トゥ・ミー』を制作する。

アリスの作った番組は、境界性パーソナリティ障害の人が、投薬を止め、本当の自分、本当に自分が考えていることを素直に表現したらこうなった、ってことなのかなあって思った。すっごいオフビートで、奇妙なファンタジーの世界。

その中では、中学生の時にみんなにアリスの精神病のことを言いふらしたビッチに復讐したりとか、家族や友達、セックスした男、精神病の先生に対する正直な気持ちを言ったりするんだけど、正直すぎてみんなに嫌われる。

私は境界性パーソナリティ障害ってのがどういう病気なのか良くわかんないので、面白いんだかなんだかわかんなかった。iMDbの投稿を観ると、境界性パーソナリティ障害を正確に描いていて、「妹が境界性パーソナリティ障害だったから、気持ちが良くわかって号泣した」という人もいれば、「境界性パーソナリティ障害に対する偏見に満ちている」とか「誤解している」って意見もある。

私は「いつものクリスティン・ウィッグ」って感じしかしなかった。オフビートで空気が読めない、性的なタブーをサラっと言う。精神障害を持つ人って感じはしなかった。

ずーっと親友だったジーナのことを、番組中ですごい太った女優に演じさせたり、ジーナが失業したのに全く心配しないで、自分の番組のことばっかり考えていたりしてジーナに嫌われるんだけど、もしあれが精神病の症状なんだったら、「こういう人だ」ってわかって付き合ってたんじゃないの?

で、最後みんなに嫌われて反省したアリスは、ジーナに最後に残った$7ミリオンを上げて仲直りするんだけど、金なの?!なんかどーも、ストーリーはなくて、ただアリスの頭の中をTV番組にしたら面白いだろうなってだけの映画なのかな?って思った。その割には何気にオールスターの配役なんだよな。
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