エイナカケル

リリーのすべてのエイナカケルのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

世界で初めて性転換手術を試みた画家の実話に基づく映画です。しかし、多くの部分で脚色もしくは端折りがある模様でした。

ちらほらと書かれている方もいますが、リリーが奔放すぎて、アイナーの時のもの静かだけどしっかりとゲルダ(妻)を愛しているあのイケメンぶりがとても懐かしく、また、「どうしてそうなってしまったの…」という悲しみに打ちひしがれてしまいました。それくらい冒頭のアイナーとゲルダは仲睦まじい夫婦なのです。

リリーとして目覚める前は普通に奥さんと夜の生活があったことがとても不思議ですが、そういう人もいるんだなーくらいにしか思ってません(笑)普通に男性として女性である妻と愛し合っていたからこそ、リリーとして目覚めた後のゲルダが可哀想でなりませんでした。

だって、自分が愛したアイナーの消滅と自分が女性であることの否定がダブルパンチで来るんですから…。

リリーが本当の自分に目覚めたことに嬉しさを隠せないのと裏腹にゲルダの目に曇りが出てくるのが実に切なかったです。せめてもの救いはハンスがゲルダを受け入れようとしている描写があったこと。

劇中でリリーは通りすがりの男性二人にリンチを受ける差別的シーンがありますが、その他はリリーの周りの人は割とリリーの性的倒錯に理解を示しているというか、別になんとも思ってないような感じがあったので、それはそれで私の心を軽くしていました。きっと現実は人が離れていったんだろうな…とは思うけど、せめて映画の中だけでも周りの人間が理解をしていないと救われませんから…。

後で調べましたが、アイナーは性転換後女性としてのパスポートを与えられてるんだそうです。そんなお国柄にびっくり。日本ってやっぱりずいぶんと遅れているのね…と思いました。

ただの美談ではないからこそ、色々な感想が出て来て面白い映画でした。

ちなみに、原題である「The Danish Girl」とは「デンマーク人女性」を意味するところであり、決して「パン」ではないそうです(笑)(私は最初、パンの「デニッシュ」だと思ってました…)そして、この「デンマーク人女性」が「リリー」をさすのか「ゲルダ」をさすのかは定かではないそうです。私は二人であってほしいなぁ。
エイナカケル

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