オレンチ

インデペンデンス・デイ:リサージェンスのオレンチのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

『前作を超える壮大な神話を作り上げたかったんだ。』
──ディーン・デヴリン。(脚本家)


あれから20年──。
そうですか、20年ですか…。(厳密には21年)
20年前といえば僕は小5?小6?わかんねぇや。まぁ小学生だったわけですが、どこにでもいる健全で映画好きな男の子だったので、SFだったりパニックものは大好物だったわけですよ。
『インディペンデンス・デイ』はそのハイブリッド映画で、当然の如く大大大好物であり、数え切れないほど繰り返し何度も見たし、これからも観るともいます。
典型的なアメリカ万歳映画であるため、アンチもそこそこ多いものの、確実に90年代を代表する一作であることは間違いないと思います。
そんなね、そんな『インディペンデンス・デイ』まさかの続編っ…!

というわけで、字幕2D版2回、吹替3Dを1回、各種特典・メイキング、鑑賞いたしました〜。

ざっくり言うとですね。
説明不足かつ、20年越しのアイデアをこじらしたかなぁ〜と言う印象でした。

一つずつ掘り下げていこうと思うのですが、まず説明不足について!
とりあえずですね、前作を観ていた人のほとんどが感じたであろう、地球の技術がめちゃくちゃ進歩している件。
で、そのほとんどの人が"コレジャナイ感"として受け取ったと思うんですよ。
実際僕もそう感じましたし。

そもそも一作目が面白かったのは、上でも述べたようにパニックとSFのハイブリッドだったことが多いに貢献してると思うんですよ。
で、一作目のパニックの部分。
これは"我々の知っている現実に突如現れる圧倒的な非現実"だと思うんですね。
言っても大国アメリカの兵力をもってしても傷一つエイリアン達には付けられないわけでしょ。どれだけ力の差があるか、どれだけ絶望的なのか、特に説明がなくてもある程度は理解できるんですよ、一作目は。

それに比べて本作の場合は、"20年前の出来事"が完全に特異点になってしまい、もう"我々の知っている現実"とは大きくちがってしまっていて、"突如現れる圧倒的な非現実"の、パニックとしては成立しなくなってしまっていると思うんですね。
エイリアンの技術者を身につけて、前作ほど圧倒的絶望を感じないと言うか、何とかなりそうというか…。
『ローグワン』でジェダが破壊されるシーンは迫力があるとは言ってもパニックとはあまり表現しないと思います。
それなのにパニックを売りにしてくる見せ方とか納得できない感覚がありました。

であれば、20年の間に何があったのかをもっとメタ的な表現でしてくれても良かったのかなと思います。
例えば、ポール・バーホーベンの『スターシップ・トゥルーパーズ』なんかは非常に上手く説明していますし、そもそも特典映像の中に、"20年の間に何があったか"というのをドキュメンタリー風に結構しっかりと作られているんですよね。
これ少し本編に挿入されても良かったかなって感じます。

ただですね、僕、進歩しちゃってる件については説明不足ってだけで何度か観るうちに結構納得してるんですよね。
なんならスペースオペラばりのゴリゴリなSFに進化したぜ!ぐらい振り切っても良かったかもと思います。
後述しますが、本作の脚本家であるディーン・デヴリンの言葉ともなんとなく繋がってきますしね。

というか、そうでもしない限りディザスター系パニックに続編なんて不可能だと思いますし。
だって地球人口の半分、30億人が20年前に犠牲になっているわけですし、もうその時点で崩壊してますしねw

あともう一つの説明不足、というかただのワンシーンなんですが、
最近はマイケル・ベイが壊し屋ってことになってるみたいですが、僕的には圧倒的にエメリッヒなんですよね。
で、流石エメリッヒだなと思える、
"ドバイがロンドンに落ちてくる"あのシーン。
言葉だけ聞いたらわけわかんないっしょw
ぶっ壊しの常識を毎度軽く凌駕して、くるとこまできたなというシーンなんですが、めちゃくちゃわかりづらいんですよね。
確かに両都市のランドマークが映っているので、分かる人には分かるとは思うんですが、記憶に残るセリフとして一つ説明があっても良かったかもしれません。


で、アイデアをこじらせた件について。
上でも述べたように、ディーン・デヴリンもローランド・エメリッヒも"パニックの続編は成功しない"をモットーに本作の話を今まで断り続けていたそうなので、20年か温めに温めた…!というわけではないのですが、
とは言ってもですね、20年ぶりの、しかも90年代を代表する大作の続編ということでね、熱が入りすぎたのかなーという印象がやっぱり強いんですよね。

僕がそう思う理由は2つあって、

まず一つ目ですが、とにかくオマージュが多いですよね。
もちろん前作を思わせるシーンは嬉しいんですよ。ファンとしては。
ただね、本作でいうと見せ場と言えるシーンのほとんどはオマージュ的なものを感じざるを得ないシーンだったと思うんですよ。
例えば、馬鹿でかいマザーシップが襲来して街ごと吸い上げるシーン。高速道路の一本道にカメラがフォーカスされていますが、これは一作目の最初の攻撃シーンを彷彿させますし、大統領がエイリアンに操られるシーンなんかはモロですね。あとはホイットモアが特攻するシーンとかもモロですよね。
とにかく見せ場のほとんどがそんな感じで、かなり焼き回し感が否めなかったです。
これならリメイクでもいいんじゃないかと思えるほどでした。

続いては、新旧キャストの立ち位置です。
20年越しの作品であるし、旧キャストが結構続投していてですね、これはやっぱりメチャクチャ嬉しいですよね。唯一リアルというか、しっかり20年分老けたキャストは時の流れにしか出せない深い味が出てました。
特にね、ジェフ・ゴールドブラムとビル・プルマンね。
帰ってきたなーーー!って感じあって良かったですよね。
で、もちろん彼らに加えて新キャストも出てきて、大きなテーマの一つである"世代交代"が成されていくわけですが……。
もうね、新旧キャスト全員が前衛にいて、主演の大渋滞が起きているんですよ。
結果、全員薄っぺらい感じになってしまい、前作にあったようなビシッと決まった大演説!みたいなシーンは感じられなかったですね。
ただね、トム・ホイットモア元大統領がしれっと痺れること言うんですよね〜。

『世界はやっと一つになった。それを守るだけの価値はある』

この後の特攻ですからね。痺れるっしょ、やっぱw

とまぁ、これだけ色んなことを言ってはきたんですが、何よりも…何よりも言いたいことはやっぱりね、20年、20年も待ったんだから…!やっぱウィル・スミスぐらい待とうぜぇぇぇーーー!
って思っちゃうんですよね、結局。


で、衝撃なのか笑撃なのかわかりませんが、本作のラストでとりあえずぶっ飛んだ展開にはなってきましたよね。
今後の続編も考えはあるようですし、
ディーン・デヴリンが意図したことなのか、そうでないかは分かりませんが、
スタートレックのような、スペースオペラ的な"壮大な神話"にはなりつつあると思います!
マッドマックスだって、2でポスト世紀末を確立したんだ!
本作だって、何が起こるかわからない!
もうこのままパニックの殻を破り、壮大な痛快スペースオペラとして突き進んで欲しいと思います!


長文・駄文にお付き合い頂きありがとうございました。