マルメラ

サウスポーのマルメラのレビュー・感想・評価

サウスポー(2015年製作の映画)
3.5

「トレーニング・デイ」、「イコライザー」で有名なアントワン・フークア監督の最新作!

前作の「イコライザー」がかなり面白かったので、期待値を最大限に上げて鑑賞。

まずキャストから。
主役はジェイク・ギレンホール。
肉体改造をガッチリ行い、素人目にはボクサー体型に見えました。
ボクシングをやられている方や、好きな方にはどう見えたのかは定かではないですが。
そして、この人のカメレオン俳優っぷりは凄い。
「ナイトクローラー」の狂気に満ちた表情とは違い。娘を想う父親の顔であったり、怒りに満ちたボクサーの顔であったり、この人の表情を見るだけで楽しめる。

奥さんにレイチェル・マクアダムス。
またお前か!!!
どんだけ良い女演じれば気が済むんだよ!
ちょっとしか出てこないけど良かった。
どことなくエロい。
擬似フ◯ラまで見せてくれちゃって。
このシーンを予告編で流すだけで映画館に走る男性多いんじゃないんですかね笑

主人公を助けるメンターとして登場するトレーナーのフォレスト・ウィテカー。
渋い!!!
あんた渋いよ!!
良い味出してるよ!!!
モーガン・フリーマンも良かったけど、あんたも名トレーナーだよ!

では、肝心の中身に。

まず、アントワン・フークアの作品は孤独な男が付き物。
今作は安泰やん。と思っていたら。。。
ちゃんと孤独になります。

頂点を極めた男がどん底に落ちる様を描くことで、感情移入をさせてます。
まぁ、脚本のお決まりパターンなんですけど。
舛添さんの一件以来、結局このパターンをみんな楽しんでるんだよなー。と複雑な心境に。
それはさて置いて。

どん底に落ちた主人公に見切りをつけて、まさしくゴキブリのように去っていく仲間達。
クズだ!!!
もう、ここからボクシングどうでもいいから全員「イコライザー」的に皆殺しにしちゃえ!!と内心思ってました。

主人公が再起を誓い、ボクシングジムに足を踏み入れるシーン。
ちゃんとご丁寧にも、階段の先にボクシングジム。
主人公が階段をまた登り始めることが隠喩されてます。

怒りを力に変える主人公が、成長していく様を描いている。
これは分かる。
しっかり描かれている。

まぁ大体の人が予想できるようなストーリーでしたが、ボクシング映画の良さである最後のカタルシスはちゃんと抑えてくれていたし。
満足度は高かったです。

なんですが、ここから否定的な意見を。
まず、犯人は!!!!
これ、この映画観た人なら全員気になっているところだと思います。
犯人はよ!
あんなデカい会場で、防犯カメラくらい付いてんだろうが!
それにあんだけ周りにギャラリーいて、誰も犯人見てないってどうなのよ。
嘘くさくね。

例えば、ビッチって言ってきたやつの弟が犯人で。
それを、金のために隠蔽したとかなら分かるんですよ。
かなり無理矢理ですけど。
そして、主人公が最後勝ったことにより、対戦相手が今度は逆にどん底に落ちて、隠蔽が明るみになるとかさ。

とりあえず犯人をどうにかしてくれないと。
カタルシスが中途半端で。

あと、娘。
最後の最後は会場にいて欲しかったかなー。
これは個人的な意見ですが。

勝ち方にも問題が。
タイトルのサウスポー。
この描写淡白過ぎじゃね?
練習のシーンはちょっとで。
最後に決め技みたいにしてるんですけど。
あまりにも、淡白。
もうちょっと、最後の決め技をやるならやるで、しっかり描かないと。

あの決め技無しにして、ディフェンスのみに主人公の成長を集約しても良かった気もするですが。

娘の反抗期⁇もいつの間にか解消。
子供ですから。という見方も出来なくはないんですけど。
いつの間にか、何で試合を見ちゃいけないの?という怒りに変えられていて。
いや、君が怒ってたのそこじゃないでしょ?
と脚本にブレが生じていた気がします。

正直言って、脚本に穴はあります。
こだわりはあるので、そこまで否定はしませんが。
それでも、観客が気になってしまうところを描ききれていない。または描いていないのは問題かなー。

ボクシング映画として楽しめることは間違いないですが。
やっぱり王者は「ロッキー」かな。
マルメラ

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