たりほssk

画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のたりほsskのレビュー・感想・評価

3.3
マネのモデル、ベルト・モリゾが画家だったということをこの作品で初めて知りました。映画は本当に勉強になります……。

女性に対する抑圧がとても強かったこの時代に、絵を描きたいというモチベーションを保つことは本当に大変なことだと思う。よほどの強い意志がなければ、絵をやめさせて結婚へと仕向け、さもなければ変わり者というレッテルを貼ろうとする世間の圧力に負けてしまうのではないだろうか。姉という仲間がいた時は心強かったと思うが、その姉も絵より結婚を選んでしまったから、余計に孤独感も募ったと思う。しかし彼女は絵を描き続けてゆく。作品ではその過程が抑制のきいた演出で淡々と描かれていた。マネとの関係もはっきりとしない微妙なものだった。(マネは、ややミステリアスな人物として描かれていた。ベルトの知らないいろいろな顔を持っているようだった。)が、最終的には彼女の精神的成長がしっかりと伝わってきた。そこのところがとても良かった。

なぜ彼女は絵を描き続けることができたのか。やはり彼女の才能を認めたマネの存在は大きかったと思うが、何よりも彼女が自分の能力を見捨てることなく、自分で自分を大切にしていたからだと思う。拡大解釈かもしれないけれど。
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