たりほssk

パリタクシーのたりほsskのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
4.2
パリのタクシー運転手、シャルルの車に1人のマダムが乗り込んできた。
彼女は92歳、これから終の棲家となる高齢者施設に向かうのだと言う。そして彼はマダムの人生を一緒に辿ることになる…

何といっても、マーガレットに扮するリーヌ・ルノーさんの存在感が大きかった。喜怒哀楽の表情が、全く軽くない…重みと深みがあり、感情を超えた思いが表されていたと思う。素晴らしかった。
そしてマーガレット(リーヌ・ルノーさん)はゆっくり行動する。かみしめるような話し方、一歩一歩確かめるような足取り、所作。それは年齢のせいと言ったらそれまでだけれど、ゆっくり動くということがとても美しいと感じたのは初めてだった。
そんな彼女に感化されるシャルルを演じたダニー・ブーンさんも素晴らしくて、硬く荒んでいた心が解きほぐされる様子がよく表現されていた。

他人の話に耳を傾けるということ、それを素直に受け止めること、それは自分の心を豊かにするものなのだ。
またパリの街並みや建造物をマダムの人生と重ね合わせているところも、素敵な演出に思えた。
たりほssk

たりほssk