YAJ

LION ライオン 25年目のただいまのYAJのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 インドで5歳で迷子になり、幸運にもオーストラリアの里親の養子にもらわれ育った主人公が、Google Earthを使って故郷を探し出すという話(とたった3行であらすじは語れる)。

 ”事実は小説より奇なり”(バイロン)の言葉通り、映画は元となった実話を越えることは出来ていなかったのが残念。
 The Name above Title が全役者、主要関係者だった。理由は…  そこがこの映画の肝?! 最後の最後の”事実”に驚きと感動があった(が、感動のほとんど”そこ”に集約されるのが残念)。

(ネタバレ含む)

 予告編からGoogle Earthを使っての故郷探しがメインかと思っていた。デヴ・パテル、ルーニー・マーラー、ニコール・キッドマンと錚々たる主演陣だ。事実を越えた映画的演出、演技で圧倒してくるものと思っていたが、それぞれが、もどかしい人間像を、もどかしいままに演じていて、むしろ感動を薄めていく。

 ルーニー・マーラーは確かな演技力で近年ご贔屓の女優さんなんだけど、またまた例によって地味~に演じていて(「ソーシャル・ネットワーク」ばりに)、役としての必要性さえ疑問だった。

 事実に基づいていたのかもしれないけど、いっそ脚色して欲しかったね。映画の魔法にもっとかかっていたかった”素材”なだけに残念だ。もっと、ああして欲しかった、こう描けば感動したのにという箇所が多すぎる。

 前半のインドでのクダリが映画の半分を占める。ここが予想以上に長かった。・・・と鑑賞中は感じた。けど、今改めて思い返すと、後半のドラマ性のなさを考えると、力のこもったインド・ロケはむしろ良かったとさえ思える。
 オーディションで発掘されたという5歳の主人公を演じたサニー・パワールの純心で渾身の演技は見応えがあった。可愛い弟をいっしょうけんめい世話する兄グドゥも良かった。私は助演男優賞をグドゥ役の彼にあげたい。

 映画の最後で知らされる事実、またはラストシーンで流れる実話の映像、それらで涙させられたので、観て良かったと思えたけど、映画作品としては凡作でした。思ってたより大手シネコンでの上映が速く終わってたワケが判った(苦笑)
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