り

二重生活のりのネタバレレビュー・内容・結末

二重生活(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

タイトルの「二重生活」は、
・自身の生活と尾行対象者の生活
・順風満帆に見える生活と不倫生活
・表向き妻との穏やかな生活と真実は孤独な生活
・彼氏との共同生活と秘密を抱えた生活
これらのように二つの生活が共存していることを意味しているのかなと思った。
全体としては、生きる意味が分からない主人公の問いがこの映画そのものが問いかけていることなのかなと思った。最後には卒論を締め括る形で終わっているのもそういうことなのかなと。

人間は目に見えるものが全てではない、秘密を抱えて生活をしている。それは間違っている、良くないことの様に感じることもあるが、それが生きるということなんじゃないか。それから、尾行することで主人公の深いところの穴が埋まった感覚があるという発言や、人の生活に介入する管理人さん、最後主人公を尾行していた?風な教授の描写からは、人は他人を通して自己を認識し、生きること、実存することができるという結論を提示してる様にも思えた。

ただ、最後教授が自殺してしまったようなので、そんな単純で前向きなメッセージを送っている訳でもないのかなと思った。最後も、主人公が私に何をさせたかったのかと疑問を投げかける形で終わっててもやもや。確かに教授は最初から一貫して主人公に尾行を勧めていたけどそれは何だったのか。哲学という生きることを問う学問を極めた者でありながら、自分の手で人生を終了させてしまったのはなぜなのか。それも論文の採点をした直後に。哲学の知識がないせいかもしれないけど、そういう教授の行動が理解しきれなかった。あと不倫男がなんで尾行に気付いたのか、管理人さんがチクったのかな?時々映る防犯カメラは管理人さん目線だったのかな?

面白かったけど変にモヤモヤが残る。
人間関係多くて処理しきれなかった。もっとそれぞれに感情移入して振り回されたかった感はある。
り