り

幼い依頼人のりのネタバレレビュー・内容・結末

幼い依頼人(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ダビナとミンジュナの怯える様子が本当に子どものそれで、心えぐられる作品だった。
この話では最後、裁判でダビンがアジェシを信じて本当のことを話してくれたけど、あれだけ大人に裏切られ、話せば自分も弟のように殺される不安感の中、人を信用するのは現実世界では無理なのではないかと思った。更に自分が弟を叩いてしまったという罪悪感、弟を失った悲しみ、世界への恐怖という何重苦も抱えていることを思うと辛過ぎた。
児童虐待に関わる複雑な問題を取り上げていたけど、現実はもっと叫びたくなるようなどうにもならないジレンマがあるんだろうな、、児童保護施設や警察の無関心、法律上介入できない状況、地域の無関心、社会全体の格差に対するスタンス(この映画でいう法律事務所の代表の「運が悪かったから仕方ない」)等々。もし地域の人がもっと積極的に介入していたら、おじさんがハンバーガーを一緒に食べてあげていたら。そう思わずにはいられない。助ける瞬間はきっといくつもあったはずなのに、そうやって網の目をするするとかいくぐってミンジュナは亡くなってしまったんだろう。
結局、署名活動をして法の専門家であるおじさん達があれだけ動いて裁判は起こされた。解決に至らず亡くなってしまったり、大きな傷を抱えて育つ子どもの方がきっと多いんだろう。最後裁判で虐待をした母が、母親がどんな感じかなんて分からないと言っていたけど、きっと彼女も心に傷を抱えたひとりだ。それが虐待の理由になることは絶対に認めたくないけど、悲しみの連鎖は起きてしまうこともあるのだと思う。法のジレンマと現状の社会に問題を投げかける作品だと感じた。
り