テーマがすごく好き。
尾行。理由もなく尾行すること。
たとえば、刑事は事件の真相を追求するため。犯人を捕まえるために尾行する。
ストーカーは己の欲求を満たすために尾行する。
たしかに、主人公のたまだって、修士論文のためじゃないか、と言われたらその通りなんだけど、刑事やストーカーのように対象者の選び方に使命感、義務感がない、という捉え方なのではないだろうか。
尾行する対象としての長谷川博己がたまらなくキュート。クズといってしまえばそれまでなんだけど、長谷川博己の演じるクズはとことんクズなのになぜか可愛らしさがあるように思う。
それに、尾行する相手として、ここまで面白い相手だと、それはやっぱ好意に変わってしまいかねないよな、と思う。
それに対する形で、菅田将暉。とことん普通だ。キャラクターも普通で、同棲してるから存在していることが普通、日常。2人が作業してる時、背中合わせになってどちらかが音楽を聴いているような、一緒にいるのに存在を空気でしか感じない。
この菅田将暉と長谷川博己の対比がよかったな。たまは長谷川博己のことは常に目で追って跡をつけてるわけだから。
物語の運び方も嘘がなくて丁寧。
よかった。