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彼女が目覚めるその日までのpanpieのレビュー・感想・評価

彼女が目覚めるその日まで(2016年製作の映画)
4.1
今年映画館一本目はこれ!
やっとフィルマ始動しました。遅っ!
今年もよろしくお願いします。ヽ(´▽`)/


やっとこっちでも上映されました。
クロエちゃん主演でこんな病気がある事も知らなかったのでだんだん壊れていく彼女が可哀想で見ていて辛かったです。


スザンナ・キャラハンは憧れだったニューヨークポスト紙で働く21歳。
一面記事を書ける記者を目指して働いていた。
ミュージシャンのスティーヴンという彼もできて順風満帆なスザンナはアットホームな誕生日会で両親にスティーヴンを紹介することに。
スザンナの父トムと母ローナは離婚してそれぞれパートナーがいる。
でも娘の誕生日に駆けつける程スザンナを愛していて離婚していても親の務めを果たしている。
バースデーケーキのろうそくの火を吹き消す前スザンナは変な感覚を感じる。
その日から彼女の体の中で何かが始まった…


抗NMDA受容体脳炎。
普通の病院でのあらゆる検査を受けても出てくる数値は正常だなんて!
MRIでも見つけられなかったのはショックだった。
何かが自分の体の中で起こっているのが分かるのにそれを伝えられず暴言や奇行に走る彼女を支える家族と恋人も次第に疲弊していく。
検査値が正常なら精神病を疑うべきと突きつけられ「うちの病院では無理」と匙を投げる医者に「原因がある筈。何故医者なのに原因を見つけられないんだ!」と噛み付く父親。
スザンナの病状は次第に悪化し話す事もできなくなり目線が合わなくなる。
本当に恐ろしい病気!
手を上げたらそのままの姿でずっとそうしている〝硬化症〟の症状も出て診断した1人の医師が「何かがおかしい。精神病ではないかも」とある医師にコンタクトを取る。
そのお陰でやっと脳の病気と分かるけどそこまで調べず精神科へ行くことを勧められるらしい。
過去にも「エクソシスト」のモデルになった男の子がおそらくこの病気だったのではないかと言われているそうだ。
医学が今よりもっと遅れていた時代に〝悪魔憑き〟として悪魔祓いを施されていたなんて。
抗NMDA受容体脳炎と名前がついたのは2000年を過ぎてからだという。
スザンナの物語は実話で発症から回復まで7ヶ月というのにはあまりにも短く観ていてとても長い期間に思えたので驚いた。
病気を見つけてくれた医師が神様の様に見えた事だろう。

クロエちゃん凄かった!
この病気を全く知らなかったのでどんな風に病状が変化していくか観ていて怖かった。
風邪の初期症状に始まり幻聴、幻覚を見る様になり暴言が止まらない!
やがて歩く事もできなくなりベッドに寝たきりでそしてとうとう話せなくなる!
今作の原題「Brain on Fire」とは凄い例えだけど本当にスザンナはこの激痛と自分が壊れていく恐怖を味わった訳だしそれ程脳炎とは本当に怖い病気なんだと印象付けられ恐ろしかった。

本当はクロエの演じたスザンナ役はダコタ・ファニングが演じる予定だったそうだ。
スケジュールが合わず降板しクロエに白羽の矢が立ったがスザンナが抗NMDA受容体脳炎を発症したのが24歳の時であってクロエでは若すぎた!
それ以外クロエを外す理由などなくそれで劇中では21歳の設定にしたそうだ。
ダコタのスザンナも観てみたかったけど。

母親役がキャリー=アン・モスだった!
年齢を重ねても凛として美しい。
ローナ役がぴったりだった。
父親役のリチャード・アーミティッジが私にはヒュー・ジャックマンにしか見えなくてちょっと違うかなぁと思いつつ医師たちにキレて怒って叫ぶ演技に「プリズナーズ」を見た感じ。
ググったらやっぱり全然違う人じゃない!
今も本当にヒュー・ジャックマンじゃないの⁇という感想。(^^;;
私のヒュー・ジャックマンの記憶間違っている⁈(-_-;)
彼氏スティーヴン役はトーマス・マン。
彼女は絶対に治ると信じている彼氏を演じていたがなんかもっと熱く演じられなかったかな。
トムと病院での会話にはほろっとさせられた。
「キングコング」に出ていたそう。
全く見たことがない!
アコギを弾いて歌う姿が見られますが夫も普段ギターを弾くので夫の方が上手いかもと思った。(^^;;
ミュージシャンの感じあまり出てなかった気がするんですけど。

職場の先輩マーゴ役のジェニー・スレイト、「ギフテッド」のメアリーの先生だった女優さんだった!
コメディ畑出身なんだー!
今作の役凄く良かった!
バイタリティに溢れてスザンナがまだ元気だった頃オフィスでスザンナとのやり取りがいい。
一度お見舞いに来るんだけど変わり果てて会話も出来ないスザンナに一方的にジョークを言ったりするが病室を出て静かに泣くシーンはもらい泣きした。(;_;)

日本でも同時期に上映が始まった「8年越しの花嫁」は今作から作られたのかと思っていたら日本人の実話だそうで発症して6年昏睡状態なんて!
目覚めて本当に良かった。(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
その間彼氏がずっと待っていたなんて想像しただけで泣ける!
「彼女が目覚めるその日まで」なんて邦題つけないでこっちはそのまま原題で良かったのでは?
上映時期も被るしタイトルも近いし本当に邦題付ける側の感覚の問題かな?
私は原題の方がいいと思った。


オフィスでの奇行や大物インタビューの失敗などあれでクビにしないんだなぁと感心。(そこ⁈(^^;;)
流石ニューヨークポスト紙!

スザンナを最初に診察した医師がスザンナがアルコール摂取量が多くて夜遊びをやめる様にと決めつけたシーンがあったけどあれは現実的でこんなのあるだろうなぁと怖くなった。
今作では両親がスザンナが殆ど飲めない事を主張しておかしいとなったけど酒は普段から飲んでますという私の場合は当てはまっちゃうの⁇
怖っ!(>人<;)
患者の立場からも医者は選ばなくちゃダメだわと実感した。


生きていれば必ず病気にかかる。
今迄血液検査やMRIを受けたことはあるけど「あなたの病気は検査をしても分かりません」と言われたことはない。
脳炎は血液検査やMRIでは分からないんだという事が分かった。
医師はそれぞれの専門分野の診察をしたら他の臓器は違う医師へとそれぞれ専門の医師が診察するのだがこの病気の様に症状をトータルで診ないと発見できない病気の場合これからの医療のあり方や医師の総合的な知識を高めていくという問題点を投げかけているのではと思った。

スザンナさんのインタビューをYouTubeで見たけどなかなか美人で頭良さそう。
リハビリも大変だったと思うが本当に回復して良かった。
原作も読んでみたい。
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