かわとも

マドモアゼルのかわとものレビュー・感想・評価

マドモアゼル(1966年製作の映画)
3.9
誰もが持つ社会的な役割。求められる人間像。いつもの日常。

人は多面性を持つもの。1つの面だけでは苦しい生き方になってしまう。

ある意味表の顔に満足して居たからこそ、そうでは無かった自分に衝撃を受けた。
鏡に向かって何かを作り出す儀式を経て、彼女は欲望のままの女に変わる。

レースの手袋、ヒールの靴。メイクアップ。

己の中の聖と邪の狭間で揺れ動くかのように。
次第に生徒ブルーノへのいじめがエスカレートする。母の面影を求めて居た少年が大人になるには十分な経験だ。

隷属を見せたあとの、冷や水をかけられた仕打ちに応えるため、彼女はイエスという。もちろん、結果を見越してのこと。

マドモアゼルにはゴシップなどあってはならないのだ。

ジャンヌダルク、ジルドレイ。その二極で揺れ動いた彼女は村を去る。証人の少年が見つめる中で。

疎外感と仮面をつけたマドモアゼルの人生はいつか心の自由を捕まえられるのだろうか。

誰の中にもマドモアゼルは存在する。
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