JunIwaoka

ロブスターのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.5
2016.3.5 @ 新宿シネマカリテ

ロブスターという回答はエクセレント・チョイスだと思う。僕は長生きしたい訳じゃないけど、衰えの心配を知らずに海でのんびり暮らしたいという気持ちは分からんでもない。
パートナーがいないと罪とされるどこか異国で、シングルは施設に入れられ、45日間で相手を見つけないと動物にさせられるというユニークさは、その設定以上になかなかシュールで面白かったけど、終始冷ややかなニヒリズムに苦笑い。カンヌで話題になっていた期待はまったく裏切らなかった。
社会が個人に求めるものって生産性だとかそういう繁栄?のために、存在しない平均的な人の基準と比較されて良し悪しを決められてしまう。欠点ってトラウマみたいに長所よりもその人のパーソナリティになりやすくて、他人と向き合うと嫌でも自分のパーソナリティと向き合わなきゃいけないから一人でいる方がある意味楽なんだよな。物腰柔らかくナイスガイを装っていても、冴えない表情で内面は冷酷さを持っているから同じ欠陥を持つ人に安堵するというのは痛いところ突かれたみたいで辛かった。。
常識という外部から見たら可笑しいな社会的ルールに従っている善人も結局は自分のことしか考えていなくて、反抗する人たちもまた不自由な社会を形成するという批判には頷くしかなくて面白い。どちらに肩を持つ訳でもないけど、どんなに愚かでも前者が後者に対して正当性を振りかざして高慢な態度を取ることに殴りたくなる気持ち分かるな。
社会って理不尽だからその中で円満な結婚生活(友人の話聞いてても思うけど)って、あのお揃いのボーダーを着てるようなものだよな。とても素敵な海外版ポスターのデザインが示すように、どんなに退廃としていてもパートナーと二人だけの世界に籠っていた方がいいんじゃないかって思うから、あのオチにはあーあ、、、と思わず唸るしかなかった。
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