このレビューはネタバレを含みます
前半は結婚しないと動物にされてしまうホテルでの話、後半はそのホテルから逃れ、自由に個人として生きようとする団体と共に行動する主人公の姿を描いている。登場人物全員どこか頭のネジが外れており、そのちぐはぐな会話やズレたテンポのやりとりには狂気感と面白さが混在してる。今回もシュールな絵面と唐突に出てくる理不尽で残酷な暴力のバランスに気持ち悪さと心地よさがあった。しっかり映す動物の死ってなかなかキツいしインパクトがある。
ラストは視力を奪われた恋人を連れ出してコミュニティを逃走した主人公が、恋人と対等になろうと自分の目を潰しに向かい、帰ってくるのか来ないのかわからない場面で終わる。最後まで彼女を想えたのか、それとも逃げたのか。
ものすごい情報量と考察しがいのある映画だった。重要な転換点をあえて映さずに場面と場面を繋げて観客に間に起こった事を推察させるシーンが非常に多く、読解力が試される映画の類。最高だった。