うるぐす

この世界の片隅にのうるぐすのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.7
【この映画よ、永遠なれ】
のん(能年玲奈)の声から映画が始まる。「あまちゃん」で毎日僕の日常に存在していた彼女の声を聴いたのはいつぶりだろう。なんでこんなに長い間彼女の活躍を見られなかったのだろう。そんなことを思うと少し泣きそうになった。映画の内容には関係ないのかもしれないけど。

この映画は尊い。主人公の「すず」の日常を描く。淡々と。映し続ける。この映画には、戦争映画にありがちな主観的なメッセージは残さない。その時の日常がどうであったか、その一点のみを照射し続ける。そして、その結果、戦争の残酷さを最も克明に映し出す。そして、普通の日常を過ごしていた人たちの普通が少しずつ変容していってしまうことの残酷さ。

反戦を観客に訴えてくるわけではない。

でも、だからこそ、観ていて届くものがある。僕らの日常にこの映画がするするっと入ってくる。

思わず、祖母にLINEした。
「この映画、観て来てくれへん?」
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